測るだけで終わらせない、健康管理DXとクラブ経営改革の入口
フィットネスクラブの役割が変わり始めています。
かつては、筋力トレーニングやダイエット、スタジオレッスンを目的に通う場所という印象が強くありました。
しかし現在は、健康寿命を延ばしたい、生活習慣病が気になる、転倒やフレイルを防ぎたい、体力を落としたくないという高齢者の利用ニーズが高まっています。
経済産業省の分析では、フィットネスクラブ会員に占めるシニア層の割合は、人口構成の変化幅以上に上昇しており、2014年には60歳以上の会員比率が30.3%と年齢別で最も高くなったとされています。さらに、60歳代世帯のスポーツクラブ使用料支出も高く、シニア層の健康志向がフィットネスクラブ市場を支えていることが示されています。
出典:経済産業省
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h26/h4a1502j1.pdf
また、健康日本21では、65歳以上の運動習慣者の現状値を男性41.9%、女性33.9%とし、令和14年度には男女とも50%を目標としています。高齢者の運動習慣づくりは、個人の健康課題にとどまらず、社会全体で取り組むべきテーマになっています。
出典:健康日本21
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-001
一方で、フィットネスクラブ業界では競争も激しくなっています。2024年度のフィットネス市場は7,100億円前後に達し、過去最高を更新する見込みとされていますが、低価格帯ジムの拡大により、黒字企業と赤字企業の二極化も進んでいると報告されています。
出典:帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/industry/250516_fitness24fy/
この状況で、総合型フィットネスクラブに求められるのは、単なる設備提供ではありません。
特に高齢者利用が増えるクラブでは、「運動できる場所」から「健康状態を見守りながら、無理なく運動を続けられる場所」へ進化することが重要です。
その入口として見直したいのが、クラブ内に設置されている業務用の上腕式血圧計です。

血圧計は置いてあるだけでは経営資産にならない
多くのフィットネスクラブには、業務用の上腕式血圧計が設置されています。会員は運動前に血圧を測り、最高血圧、最低血圧、脈拍を確認します。

しかし実際には、その場で数値を見るだけで終わっているケースが多いのではないでしょうか。筆記用具が血圧計のそばに置いてあるケースが多く、測って書いて終わりということがほとんどです。
今日の血圧は前回より高いのか。
運動を続ける中で、血圧や脈拍にどのような変化があるのか。
疲労感や睡眠不足と数値に関係があるのか。
クラブに通う頻度と体調変化に関係があるのか。
こうした情報は、本来であれば会員の健康支援にも、クラブ運営にも役立つはずです。
ところが、測定結果が記録されなければ、血圧計は単なる「その場の確認機器」で終わってしまいます。
高齢者会員が増えるクラブにとって、これは大きな機会損失です。
高齢者がフィットネスクラブに求めているのは、単に汗をかくことだけではありません。自分の健康状態を確認しながら、安心して、無理なく、継続的に運動できる環境です。
高齢者会員には「安全確認」と「継続支援」が必要
高齢者会員にとって、運動前の体調確認は非常に重要です。
筋力を維持したい。
歩行能力を落としたくない。
生活習慣病が気になる。
医師から運動を勧められた。
フレイルを防ぎたい。
このような目的でフィットネスクラブに通う人は増えています。
近年のフィットネスクラブでは、筋力トレーニングだけでなく、ZUMBA、ヨガ、アクアプログラム、ピラティスなど、多様なスタジオ・プールプログラムが用意されています。
これらは、運動経験や体力に応じて選びやすく、高齢者にとっても継続しやすいメニューです。
一方で、同じ高齢者向けプログラムであっても、その日の体調によって適した運動強度は変わります。
たとえば、楽しく身体を動かせるZUMBAでも、血圧や脈拍の状態によっては強度を抑えたほうがよい日があります。
ヨガやピラティスは呼吸や姿勢を整えるプログラムとして取り入れやすく、アクアプログラムは関節への負担を抑えながら運動しやすい選択肢になります。
だからこそ、プログラム参加前に血圧を測定し、自分の体調を確認する仕組みが重要になります。
ただし、ここで大切なのは、フィットネスクラブが医療機関のように診断を行うことではありません。
クラブができることは、会員自身が体調変化に気づける仕組みを用意し、必要に応じて運動強度の調整、休息、医療機関への相談を促すことです。
この「気づき」と「声かけ」の仕組みをつくることで、血圧計はクラブ経営に役立つ接点になります。
五行ドクターで血圧測定を健康記録に変える
血圧計を活用する一つの方法として、例えば“五行ドクター”があります。
五行ドクターは、市販の血圧計で測定した最高血圧、最低血圧、脈拍を入力することで、健康得点、ストレス度、未病傾向、五行体調バランスを可視化するWEBアプリです。
医療診断を行うものではなく、血圧・脈拍から日々の体調変化に気づくためのセルフケア支援ツールとして位置づけられます。
現時点で、大手フィットネスクラブが五行ドクター+Me-Naviを正式採用している事例はありません。
また、Me-Naviは2026年6月以降の正式リリースを予定している段階です。
ただし、個人ユーザーの中には、すでにジムに設置された上腕式血圧計で運動前に測定し、その結果を五行ドクターに入力して、前回との差や体調変化を確認している例があります。
この使い方は非常に現実的です。
会員は、ジムに来るたびに血圧を測定します。
最高血圧、最低血圧、脈拍を五行ドクターに入力します。
健康得点、ストレス度、未病傾向、五行体調バランスを確認します。
前回との差を見て、その日の運動内容を考えます。
これだけで、血圧測定は「一回限りの確認」から「継続的な健康記録」へ変わります。

体調に合わせた運動メニュー提案に活用する
高齢者会員に対する運動提案では、年齢だけで一律に判断するのは不十分です。
同じ70代でも、毎週運動している人と、久しぶりに運動を始めた人では体力が違います。
血圧傾向が安定している人もいれば、日によって変動しやすい人もいます。
睡眠不足や疲労が出やすい人もいます。
五行ドクターのようなセルフチェックを活用すれば、トレーナーは会員の主観的な訴えだけでなく、血圧・脈拍をもとにした体調バランスも参考にできます。
たとえば、血圧傾向が気になる日は、強度の高い筋力トレーニングやテンポの速いZUMBAではなく、軽い有酸素運動、ストレッチ、アクアウォーキングなどを提案する。
ストレス度が高めに出ている日は、ヨガ、ピラティス、呼吸法、リラクゼーション系のプログラムを案内する。
膝や腰への負担が気になる会員には、陸上での運動だけでなく、水中で身体を動かすアクアプログラムを提案する。
疲労感が強い日は、マシントレーニングの負荷を抑え、コンディショニングやマッサージ、軽めのスタジオプログラムを中心にする。
このように、血圧計と五行ドクターを組み合わせることで、クラブ内にある既存のプログラムを、会員のその日の状態に合わせて提案しやすくなります。
会員が「ここは自分の状態を見てくれる」と感じれば、満足度が高まります。
無理な運動を避けやすくなれば、安心感も高まります。
そして、健康管理の実感が増えれば、継続利用にもつながります。
血圧計は会員継続率を高める接点になるか?
フィットネスクラブ経営では、新規入会だけでなく、退会防止が重要です。
特に高齢者会員は、体調不安、効果を感じにくい、通う目的が曖昧になる、運動メニューが自分に合っているか分からない、といった理由で継続が難しくなることがあります。
そこで、血圧測定を健康記録として活用します。
「先月より健康得点が安定してきましたね」
「運動を続けている日はストレス度が落ち着きやすいですね」
「今日は少し無理をせず、軽めのメニューにしましょう」
このような声かけができると、会員は自分の変化を感じやすくなります。
体重や筋肉量だけでは見えにくい変化でも、血圧・脈拍・体調バランスとして記録されることで、運動を続ける意味が見えてきます。
つまり、血圧計は単なる安全確認の道具ではなく、会員との継続的なコミュニケーションを生む道具になります。
Me-Naviでクラブ運営の健康DXへつなげる
個人が五行ドクターで記録するだけでも、健康管理には役立ちます。
しかし、将来的にMe-Naviがフィットネスクラブで活用できるようになれば、クラブ運営そのものに活かせる可能性があります。
Me-Naviは、五行ドクターで入力された日々の健康データを、企業・施設・地域単位で活用するための管理クラウドとして開発されています。正式リリースは2026年6月以降の予定です。
フィットネスクラブで活用する場合、会員全体の健康傾向を、個人情報に配慮しながら店舗単位・年代単位・地域単位で把握することが考えられます。
たとえば、シニア会員の多い店舗では、血圧管理やフレイル対策に関心が高い会員が多いかもしれません。
働き世代が多い店舗では、ストレスや睡眠に課題を持つ会員が多いかもしれません。
女性会員が多い店舗では、美肌、冷え、疲労、リラクゼーションへの関心が高いかもしれません。
このような傾向が見えてくれば、クラブは地域ごとの会員特性に合わせて、運動メニュー、スタジオプログラム、マッサージ、エステ、サプリメント、健康講座などを企画できます。
たとえば、シニア会員の血圧傾向や疲労傾向が高く出やすい店舗では、ZUMBAのような運動量の多いプログラムだけでなく、アクア、ヨガ、ピラティス、ストレッチ系プログラムを強化する判断ができます。
一方で、比較的活動量の高いシニア会員が多い店舗では、音楽に合わせて楽しく身体を動かすZUMBAやダンス系プログラムを、健康管理データと組み合わせて提案することも考えられます。
つまり、Me-Naviで会員全体の健康傾向を把握できれば、単に人気プログラムを増やすのではなく、その地域、その店舗、その年代に合ったプログラム設計が可能になります。
血圧計を起点にした健康データが、スタジオ編成、プール活用、パーソナルトレーニング、リラクゼーションメニューの企画に活かせるからです。
高齢者対応はクラブ経営の差別化になる
フフィットネスクラブ市場は拡大していますが、低価格ジムの増加によって、単にマシンを置くだけでは差別化が難しくなっています。
この中で、総合型クラブが強みを出せる領域が「高齢者の健康支援」です。
高齢者は、単に安いジムを探しているだけではありません。
安心して運動できること。
自分の体調に合ったメニューを提案してもらえること。
スタッフに相談できること。
健康状態の変化を一緒に見てもらえること。
こうした価値を求めています。
血圧計を活用した健康管理の仕組みは、このニーズに合っています。
すでに設置されている血圧計を使い、五行ドクターで個人の体調変化を見える化し、将来的にはMe-Naviでクラブ単位の健康傾向を把握する。
この流れを作ることで、フィットネスクラブは単なる「運動施設」から「高齢者の健康管理を支える地域拠点」へ進化できます。
まとめ:血圧計を経営改革の入口にする
高齢者利用が増えるフィットネスクラブでは、血圧計の意味が変わります。
これまでは、運動前に数値を確認するだけの機器だったかもしれません。
しかしこれからは、会員の健康状態を見える化し、運動メニューを調整し、継続利用を支え、地域に合った健康サービスを開発するための入口になります。
五行ドクターは、血圧・脈拍を入力するだけで、健康得点、ストレス度、未病傾向、五行体調バランスを確認できるセルフケア支援ツールです。
Me-Naviは、2026年6月以降の正式リリース後、個人の記録を施設や地域の健康管理へ広げる可能性を持つクラウドサービスです。
大手フィットネスクラブでの正式導入はまだこれからです。
しかし、個人ユーザーがジムの血圧計と五行ドクターを組み合わせて健康記録を行っている現実を見ると、血圧計をクラブ経営に活かす可能性は十分にあります。
高齢者会員の安心感を高める。
トレーナーの提案力を高める。
会員継続率を高める。
店舗ごとの健康サービスを強化する。
フィットネスクラブにある血圧計は、測るだけで終わらせるには惜しい資産です。
高齢者利用が増える時代だからこそ、血圧計を健康管理DXとクラブ経営改革の入口として活用する視点が求められます。
関連URL
完全無料の未病を見える化するセルフチェックAPP
https://gogyou-doctor-prod.web.app/
※五行ドクターはセルフケア支援を目的としたアプリであり、医療機器ではありません。診断や治療が必要な場合は医師に相談してください。
月額500円からの健康経営クラウドMe-Navi(ミーナビ)公式サイト
https://liquiddesign.co.jp/technology-line/me-navi/
五行ドクターは、突然生まれたアプリではありません。
ソニー脈診研究所の研究を起点に、ソニー創業者 井深大、韓国の医師 白熙洙、そして五行アルゴリズムの発明者 高島充らの研究が、約35年かけて現在の仕組みへと発展してきました。
東洋医学の脈診を「測定と演算」で解析するという研究の流れをまとめた記事はこちらです。
脈診を科学する 五行ドクター開発の系譜
https://liquiddesign.co.jp/technology-line/gogyo-doctor/genealogy/
五行ドクターの背景にある技術や研究の歴史を知りたい方は、ぜひあわせてご覧ください。


