今日からできる5つの家庭&保育現場の工夫

SIDS(乳幼児突然死症候群)は、何の予兆や既往歴もない乳児が睡眠中に亡くなり、十分な調査を行っても原因が特定できない病気です。窒息などの事故とは区別されます。こども家庭庁によると、2024年には55人の乳児がSIDSで亡くなり、乳児期の死亡原因の第3位でした。
SIDSを完全に防ぐ方法は確立していません。ただし、あおむけ寝、無理のない範囲での母乳育児、禁煙などにより、発症リスクを下げられることが研究で示されています。さらに、硬く平坦な寝床や、寝床に物を置かないことは、睡眠中の窒息事故を減らすために重要です。本記事では、家庭と保育現場で今日からそろえたい5つの行動を、2026年時点の公的情報に基づいて整理します。
| 2026年度版で更新した主なポイント 最新公表値として、2024年のSIDS死亡数55人を反映SIDSと睡眠中の窒息事故を混同しない構成へ修正1歳未満は掛け布団を避け、硬く平坦で物のない寝床を使う最新の安全睡眠情報を反映午睡センサーはSIDSを予防する機器ではなく、目視・記録を補助する機器と明記2026年度も午睡センサー等の安全対策機器への導入支援が継続されている点を追記 |
SIDSとは?まず「病気」と「事故」を分けて考える
SIDSは、健康に見えていた1歳未満の乳児が突然亡くなり、解剖や死亡状況の調査を行っても原因が特定できない場合に診断されます。窒息、転落、熱中症など原因が確認できる事故とは異なります。そのため、「センサーを使えばSIDSを防げる」「室温を一定にすれば発症しない」といった説明は正確ではありません。
一方で、あおむけ寝や禁煙など、SIDSの発症リスクを下げる行動は示されています。また、硬く平坦で物のない寝床を整えることは、睡眠中の窒息事故を防ぐうえで重要です。家庭でも保育現場でも、SIDS対策と事故防止を組み合わせて考える必要があります。
SIDSによる死亡数は減少しているが、ゼロではない
SIDSによる乳児死亡数は、1997年の538人をピークに大きく減少しました。近年は2020年95人、2021年81人、2022年47人、2023年48人、2024年55人です。長期的には減少していますが、毎年発生しており、安全な睡眠環境と正しい情報の継続が必要です。

図:旧記事の2021年までのグラフを、2024年の最新公表値まで更新
今日からできる5つの家庭&保育現場の工夫

1. 1歳になるまでは、寝かせ始めをあおむけにする
SIDSはあおむけ寝でもうつぶせ寝でも起こりますが、あおむけに寝かせたほうが発症率が低いことが研究で示されています。医学上の理由で医師から別の寝姿勢を指示されている場合を除き、1歳になるまでは、眠り始めをあおむけにします。
自分で寝返りができるようになった赤ちゃんが睡眠中に姿勢を変えた場合、家庭では毎回無理に戻し続けるのではなく、寝床を硬く平坦にし、周囲に物を置かないことが重要です。個別の病気や発達について心配がある場合は、医師の指示を優先してください。
- 家庭:授乳後や夜間も、寝かせ始めはあおむけにする
保育現場:職員間で寝かせ方を統一し、引継ぎ時にも確認する
2. 硬く平坦で、何も置かない赤ちゃん専用の寝床を使う
柔らかいマットレス、傾斜のある寝具、枕、クッション、ぬいぐるみ、タオル、よだれ掛け、コード類などは、顔を覆ったり、首に巻きついたり、身体が沈み込んだりする危険があります。
1歳になるまでは掛け布団を使わず、スリーパーや衣類、空調で調整します。添い寝には、大人の身体や寝具で口や鼻をふさぐ危険があるため、できるだけ赤ちゃん専用の寝床を用意します。
- 国の安全基準に合格した製品を選び、説明書の対象年齢と使い方を守る
- ベビーベッド使用中は柵を上げ、マットレスとの隙間を確認する
寝床の中は赤ちゃん以外を置かない
3. 暖めすぎを避け、顔や頭を覆わない
寒い季節は厚着や重い寝具、暖房が重なることで、赤ちゃんが熱を逃がしにくくなることがあります。夏も高温多湿による熱中症や脱水に注意が必要です。季節を問わず、赤ちゃんを『冷やさないこと』だけを優先せず、暑くしすぎない視点を持ちます。
寝汗が多い、胸や背中が熱い、顔が赤いときは、衣類を減らすか空調を調整します。手足の冷たさだけで判断せず、首・胸・背中など体幹部を確認します。室内で帽子をかぶせたり、布団で頭や顔を覆ったりしないようにします。
- 温湿度計は、エアコンの表示ではなく赤ちゃんの寝床付近に置く
- 冷暖房の風を直接当てない
掛け布団ではなく、衣類やスリーパーで調整する
4. 無理のない範囲で母乳育児を行い、たばこの煙を避ける
母乳で育てられている赤ちゃんはSIDSの発症率が低いことが研究で示されています。ただし、すべての家庭が母乳育児を選べるわけではありません。母乳の量や授乳方法に不安がある場合は、産科、小児科、助産師、保健センターなどへ相談し、保護者を追い詰めない支援が重要です。
妊娠中の喫煙、妊婦や乳児の受動喫煙、乳児の周囲での喫煙はSIDSの発症要因になります。家庭内だけでなく、車内、ベランダ、来客時なども含め、赤ちゃんに関わる大人全員で禁煙環境をつくります。
- 授乳方法について罪悪感を持たせる説明は避ける
- 加熱式たばこを含め、赤ちゃんの周囲に煙やエアロゾルを持ち込まない
保育施設は送迎時の衣服や持ち物に付着したたばこのにおいにも配慮する
5. 保育現場では、目視・記録・緊急対応を標準化する
午睡中は、子どもの寝姿勢、顔色、呼吸の様子、体の動き、発汗、周囲の寝具や物品を直接確認し、施設のマニュアルや自治体の基準に従って記録します。確認間隔は年齢、健康状態、施設区分、自治体の運用基準によって異なるため、この記事では全国一律の時間を断定しません。
職員の交代時には、体調、授乳・食事、服薬、家庭での睡眠状況、早産・低出生体重などの情報を引き継ぎます。反応がない、普段どおりに呼吸していないなどの異常時には、119番通報、心肺蘇生、AED、保護者連絡をためらわず実行できるよう、役割分担と訓練を行います。
- 午睡中も子どもの表情を確認できる明るさを確保する
- よだれ掛けやフード付き衣類など、首や顔を覆う物を外す
担当者だけに任せず、職員全体で手順と記録方法を共有する

午睡センサーは「見守りの補助」として使う
2026年度も、こども家庭庁の保育関係施策では、睡眠中の事故防止対策に必要な午睡センサー等の導入支援が継続されています。センサーは、体動の変化や記録漏れに気づくきっかけになり、職員の確認業務を支えることが期待されます。
ただし、午睡センサーや家庭用ベビーモニターは、SIDSを予防・診断する機器ではなく、職員や保護者による目視確認、安全な寝床、緊急時対応の代わりにはなりません。対象年齢、設置できる寝具、通信条件、アラーム時の対応方法を確認し、人的な見守りと組み合わせて運用してください。
| センサーで補助できること | センサーだけでは代替できないこと |
| 体動変化の通知 チェック記録の補助 複数児の情報整理 見守り業務の負担軽減 | あおむけ寝と安全な寝床 職員・保護者の直接観察 異常時の判断と救命処置 SIDSの予防・診断 |
家庭用・保育現場用チェックリスト
| 確認項目 | 家庭 | 保育現場 |
| 寝かせ始め | 1歳まではあおむけ | 職員間であおむけを統一 |
| 寝具 | 硬く平坦な専用寝床 | 隙間・沈み込み・破損を点検 |
| 寝床の中 | 枕やぬいぐるみを置かない | よだれ掛け・タオル等も外す |
| 温度調整 | 衣類・スリーパー・空調 | 発汗・顔色・体幹部を確認 |
| 見守り | すぐ対応できる距離で確認 | 目視・記録・引継ぎを標準化 |
| 機器 | 説明書と対象年齢を守る | センサーは人的確認と併用 |
| 緊急時 | 119番と救命処置をためらわない | 役割分担、訓練、保護者連絡 |
園内マニュアルに最低限入れたい内
- SIDSと睡眠中の窒息事故の違い
- 寝かせ始めの姿勢、寝具、衣類、室温・湿度の基準
- 午睡中に直接確認する項目と記録方法
- 体調不良児、早産・低出生体重児、服薬中の子どもへの個別対応
- センサーの設置・動作確認・アラーム時の対応
- 119番通報、心肺蘇生、AED、職員招集、保護者連絡の役割分担
- 事故やヒヤリ・ハット発生後の記録、検証、再発防止
マニュアルは作成して終わりではなく、新任職員を含む定期研修、実地訓練、機器変更時の見直しまでを一つの運用として管理します。
ベビーセンサーIBUKIによる見守り支援
体動センサー「IBUKI」は、寝具の下から赤ちゃんの細かな体動を捉え、見守り中の変化に気づくきっかけを提供する技術です。保育現場や家庭で使用する際は、製品の対象年齢、対応寝具、設置方法を確認し、あおむけ寝、安全な寝床、目視確認、アラーム時の対応手順と組み合わせて使用します。
IBUKIを含むベビーセンサーは、SIDSを予防・診断するものではありません。人的な見守りを補助し、変化に気づきやすくするための手段として位置づけることが重要です。
IBUKI Plusの詳細:https://liquiddesign.co.jp/technology-line/ibuki-plus/
まとめ
SIDSの予防方法は確立していませんが、1歳まではあおむけに寝かせる、無理のない範囲で母乳育児を行う、たばこを避けるといった行動により、発症リスクを下げられることが示されています。さらに、硬く平坦で何も置かない寝床、掛け布団を避けた温度調整、赤ちゃん専用の寝床は、睡眠中の窒息事故を減らすための基本です。
保育現場では、これらに加えて、直接観察、記録、引継ぎ、緊急時対応を標準化します。午睡センサーは便利な補助機器ですが、安全な寝床や人の目に代わるものではありません。家庭と施設が同じ考え方を共有し、できる対策を一つずつ続けることが重要です。
参考資料
- こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~」
- こども家庭庁CDR「赤ちゃんが突然亡くなる『SIDS』 発症リスクをおさえるためにできることとは」
- こども家庭庁「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」
- こども家庭庁「令和8年度 保育関係予算・安全対策関連資料」
| 注意 本記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。赤ちゃんの体調に異変がある場合、早産・低出生体重・持病がある場合、医師から寝姿勢や寝具について指示を受けている場合は、医療機関の指示を優先してください。 |
IBUKI Plusの詳細はこちら:
https://liquiddesign.co.jp/technology-line/ibuki-plus/

