保育園では多くの園児が日中に「お昼寝」をしますが、現場ではこれを「午睡(ごすい)」と呼び、心身の発達に欠かせない大切な時間と位置づけています。しかし、午睡中には乳幼児突然死症候群(SIDS)などの事故リスクもあり、保育士による見守りと安全確認が不可欠です。
本記事では、「午睡」と「お昼寝」の違いを明確にしつつ、保育園における午睡の目的、安全な睡眠環境の整え方、午睡チェックの実施方法やICT化の動向までを詳しく解説します。子どもの安心と成長を守るために、ぜひ参考にしてください。

午睡とは?お昼寝との違いを解説

「午睡(ごすい)」とは、主に保育園などの集団保育の場で、子どもたちが昼食後に決まった時間に行う休息・睡眠のことを指します。家庭での「お昼寝」と似ているように見えますが、保育現場における午睡は、子どもたちの発達や健康を支える保育活動のひとつとして明確に位置づけられています。また、集団の中で安心して休めるように、室温・照明・安全確認なども細やかに配慮されており、単なる休憩とは一線を画しています。

保育園では「午睡」と呼ぶ理由

保育園で「午睡」という言葉が使われるのは、ただの昼寝ではなく、成長と発達をサポートする“保育の一環”として重要視されているからです。厚生労働省の保育所保育指針にも、午睡の必要性とその目的が明記されており、睡眠を通じて子どもの体力回復や情緒の安定を図ることが求められています。また、午睡中は保育士による定期的な安全確認も行われるため、計画的・管理的な視点が強い点も「お昼寝」との違いです。

家庭の「お昼寝」との違い

家庭でのお昼寝は、子どもの状態や家庭のスケジュールに応じて、比較的自由なタイミングで行われることが多いですよね。それに対して保育園では、すべての園児が一定の時間に寝る習慣を持てるよう、日課として「午睡」が導入されています。また、うつぶせ寝の防止や呼吸チェックなど、事故防止への配慮も不可欠です。こうした違いから、午睡は単なる睡眠ではなく、安全で健やかな成長を見守る大切な時間なのです。

午睡の目的と保育上の意義

午睡は、単に子どもが疲れて眠る時間ではなく、心身の発達を促すうえでとても大切な時間です。日中の活動で興奮状態にある子どもたちの自律神経を整え、午後からの活動に向けて集中力や体力を回復する「再起動」の役割を果たしています。また、規則正しい睡眠習慣を身につけることは、将来の生活リズムにも良い影響を与えるため、午睡は乳幼児期において欠かせない保育要素の一つとされています。

心と身体の発達に大きな役割

午前中に思い切り遊んだ子どもたちは、体力的にも精神的にも疲れが出ます。そこで適切なタイミングで午睡を取ることで、神経の高ぶりを鎮め、脳の情報整理や記憶の定着を助ける働きが期待されています。乳幼児の成長に必要な成長ホルモンは、深い眠りの間に分泌されるとも言われており、午睡はまさに心と身体の“育ち”を支える時間なのです。

生活リズムの確立にもつながる

日中にきちんと休む習慣がある子どもは、夜もぐっすり眠りやすくなります。保育園で午睡を通じて生活リズムを整えることが、家庭での夜間の睡眠にも好影響を与えることが多くあります。こうした“昼寝の習慣化”は、入園当初の子どもにも安心感を与え、集団生活へのスムーズな適応にもつながります。

午睡中の安全管理とリスク

午睡中は、子どもたちの命に関わる重大なリスクが潜んでいる時間帯でもあります。特に注意が必要なのが、SIDS(乳幼児突然死症候群)や窒息事故など、外見上は静かに眠っているように見えても、実は異変が起きているというケースです。そのため、午睡中の安全管理は、保育の中でも最も神経を使う業務の一つといえます。従来は5分おきに目視で巡回・記録する方法が一般的でしたが、人的負担や見落としのリスクもあるため、ICTツールの導入による安全強化も進んでいます。

乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク

SIDSは、健康に見えていた赤ちゃんが眠っている間に突然亡くなってしまう原因不明の疾患で、国内でも年間数十件の報告があります。特に6か月未満の乳児に多く、うつぶせ寝や過度な暑さがリスク要因とされています。保育現場では、午睡中のうつぶせ寝の防止や室温・湿度の管理、体調変化の早期発見などが求められます。安全な環境整備とともに、異変を即座に察知できる仕組みの導入が重要です。

目視チェックの限界と課題

従来の午睡チェックでは、5分間隔で保育士が部屋を巡回し、子ども一人ひとりの胸の動きや顔色、体勢などを確認していました。これには高い集中力が必要で、他の業務と並行して行うには負担が大きいのが実情です。加えて、人によるチェックでは見逃しのリスクもゼロではありません。近年では、ICTを活用した午睡見守りセンサーの導入が進み、保育士の精神的・肉体的な負担を軽減しながら、より確実な見守り体制を整える園も増えてきています。

SIDSの件数は年々減少している?

近年、SIDSの発生件数は国内外で減少傾向にあります。その背景には、うつぶせ寝の危険性の周知や「仰向け寝」の推奨、保育環境の改善、保護者・保育士への啓発活動などが挙げられます。とはいえ、ゼロにはなっておらず、予防には継続的な注意が必要です。ICT見守りツールの導入も、リスクのさらなる低減に寄与しています。保育現場では“減っているから安心”ではなく、“だからこそ気を抜かない”という意識が求められます。

午睡チェックの方法とその重要性

保育園における午睡時間は、子どもたちの体調を見極める大切な時間でもあります。特にSIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクを考えると、ただ寝かせておけばよいというものではありません。午睡チェックとは、子どもの呼吸や体勢、顔色などを定期的に確認し、異変がないかを見守る保育士の大切な業務のひとつ。これにより異常の早期発見が可能になり、重大な事故の未然防止につながります。日々の保育において、安全と安心を両立するための欠かせない習慣です。

目視チェックの基本と限界

従来の午睡チェックでは、保育士が5~10分おきに園児の寝ている部屋を巡回し、目視と触診で呼吸や体勢、顔色を確認します。これにより多くの異変が察知できますが、複数業務を同時にこなす中では負担が大きく、見落としのリスクもあります。また、記録は紙のチェック表に手書きで行うケースが多く、作業に時間を取られる点も課題とされています。

ICTによる午睡チェックの進化

近年では、センサーやアプリを活用したICT午睡チェックが普及しつつあります。例えば、非接触型のマットセンサー「IBUKI ONE」などは、園児の呼吸による微細な体動を常時モニタリングし、異常があれば即座にアラートを出します。これにより保育士は全員を5分おきに巡回する必要がなくなり、本来の保育や記録業務にも専念できます。チェックデータは自動で記録・PDF化できるため、業務効率化にもつながります。


午睡に適した環境づくり

子どもたちが安心して午睡をとれる環境を整えることは、保育園における重要な役割のひとつです。睡眠の質は、室温・湿度・照明・音などの環境条件に大きく左右されます。特に0~2歳の乳幼児は体温調節が未熟で、わずかな温度変化でも体調を崩しやすいため、快適かつ安全な環境を保つことが求められます。また、午睡中は目を閉じていても音や光の刺激を受けやすいため、静かで落ち着いた空間の演出も重要な要素となります。

室温・湿度・照明のポイント

午睡時の理想的な室温は夏で25~28℃、冬は20~23℃、湿度は40~60%程度とされています。過度な暑さや寒さは体調不良やSIDSリスクにもつながるため、エアコンや加湿器・除湿器などを活用して適切な環境を維持しましょう。また、照明は昼光色よりも暖色系の落ち着いた照明に切り替え、視覚刺激を軽減することで、子どもたちが自然に入眠しやすくなります。

安心して眠れる「静けさ」の演出

午睡時は、物音や話し声が睡眠を妨げないよう、静かな空間を保つことが大切です。掃除や保育士同士の会話は、できるだけ別室や時間をずらして行うなどの配慮が必要です。また、カーテンや吸音パネルなどの工夫で音の反響を抑えると、より快適な午睡環境を実現できます。保育士が落ち着いたトーンで声かけすることも、子どもに安心感を与える一助となります。

午睡中に起こりうるリスクと対策

保育園での午睡中には、乳幼児突然死症候群(SIDS)をはじめとする予期せぬ事故が発生する可能性があるため、リスクを想定し、対策を講じておくことが極めて重要です。呼吸の停止やうつぶせ寝による窒息、熱中症、嘔吐による誤嚥(ごえん)など、乳幼児ならではのリスクが存在します。保育士の目視確認に加えて、ICT機器やセンサーなどのサポートツールを活用することで、見守りの精度と安全性が高まります。

リスクの種類とその背景

午睡中に最も注意が必要なのは、呼吸の変化や停止です。特に0歳児の場合、まだ呼吸器系が未熟なため、ちょっとしたうつぶせ寝や暑さでもリスクが高まります。また、食後すぐの午睡では、吐き戻しによる誤嚥の危険もあるため、午睡前の姿勢やタイミングにも配慮が必要です。こうしたリスクは、保育士だけの注意力に依存せず、組織としてルール化・ICT化していくことが求められています。

ICTの活用でリスク軽減を図る

ICTツールを活用することで、午睡中のリスクをより確実に把握・記録することができます。たとえば、IBUKIのような非接触の体動センサーは、マットの下に設置するだけで、子どもの呼吸に伴うわずかな動きを感知し、異常時にアラートで通知する仕組みです。従来の目視だけでは気づきにくい体調の変化も即座に把握でき、記録も自動で残るため、リスク対応が早まり、保育士の心理的な負担も軽減できます。

午睡チェックの方法とICT化の動き

これまでの午睡チェックは、保育士が約5分おきに子どもの胸の上下(呼吸)、顔色、体勢を目視で確認し、手書きで記録する方法が一般的でした。しかしこの方法には、業務負担の大きさや記録漏れ、見逃しのリスクなどの課題がありました。近年では、こうした課題を補うためにICT(情報通信技術)を活用した午睡チェックの導入が進んでおり、より安全で効率的な保育環境づくりが可能となっています。

従来の目視・手書きチェックの限界

アナログな午睡チェックでは、担当保育士が5分間隔で巡回し、呼吸や体勢を一人ひとり確認して記録します。この作業は子どもの人数が多いほど負担が増え、他業務との両立が難しくなります。また、連続して注意を払い続けることによる精神的なプレッシャーも小さくありません。さらに、紙への手書きは記録ミスや情報の共有遅延といった課題を生みやすく、トラブル発生時の迅速な対応が難しくなるケースもあります。

ICT導入で変わる午睡チェック

ICTツールの導入により、午睡中の見守りがリアルタイムで自動化され、保育士の業務負担軽減と安全性の向上が実現しています。例えばIBUKIは、センサーが呼吸の体動を検知し、異常があればすぐに通知。午睡チェック表も自動で生成され、PDF形式でクラウド保存が可能です。これにより記録の透明性が増し、保育士同士や保護者との情報共有もスムーズになります。ICTは「保育の質」を支える心強いパートナーになりつつあります。

午睡ICTツールのタイプ別比較

現在、保育園で導入が進んでいる午睡チェックICTツールは、「マット型」「カメラ型」などがあります。それぞれのタイプには利便性や費用、安全面での特長と注意点があり、園の方針や体制に合わせて最適な選択をすることが求められます。ここでは、各タイプの特徴とメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

マット型:非接触で自然な見守りが可能

マット型の代表的な製品にはIBUKIなどがあり、子どもの背中の下に設置したセンサーマットが呼吸による体動を感知し、異常があれば自動でアラートを出します。子どもに触れる必要がないためストレスがなく、午睡中も自然な眠りを妨げません。センサーの感度やアラートの設定範囲は調整可能で、個別に細かい見守りができるのが強みです。注意点としては、設置の際にマットの位置や姿勢に気をつける必要があること、またコスト面では初期導入費がやや高めという点があります。

カメラ型・アプリ型の利点と課題

カメラ型は、映像で子どもの様子を遠隔で確認できるのが特徴です。複数人を同時にモニタリングでき、保育士の移動が少なくて済む反面、プライバシーへの配慮や映像データの管理が重要な課題です。一方、アプリ型は安価に導入でき、タブレットやスマホで午睡記録を管理できる手軽さが魅力。ただし、目視による確認が前提となるため、チェック精度や負担軽減の面では限定的です。どちらも補助的な役割としての活用が中心で、他のツールとの併用が推奨されます。

導入施設の声と選ばれる理由

IBUKIは、非接触・マット型の午睡センサーとして、全国の保育施設で導入が進んでいます。実際の現場からは「扱いやすく教え合える」「段階的に台数を増やせる」「WiFiがなくても使える」などの声が多数寄せられています。午睡チェックに特化したシンプル設計と、記録・保存・印刷までアプリで完結できる点も好評です。導入前の無料トライアルにより、現場の不安を解消した上で安心してスタートできることも、選ばれる理由のひとつです。

まとめ

午睡は、子どもの成長を支える大切な保育活動であると同時に、見守りの精度が命に関わる重要な時間でもあります。「午睡」と「お昼寝」の違いを知ることで、保育現場における専門的な対応や配慮の必要性が理解できたのではないでしょうか。 また、SIDS予防の観点からも、ICTツールの導入は今後ますます重要になります。中でもIBUKI ONEは、非接触・自動記録・PDF化といった利便性と、乳幼児にやさしい設計で注目されています。 保育士の業務負担軽減と子どもたちの安全を両立するために、ぜひ「午睡ICTツール」の活用を検討してみてください。導入やODM対応など、詳細については株式会社リキッドデザインシステムズまでお気軽にご相談ください。