今日、9月1日は防災の日です。
最近、政府の中央防災会議が公表した「富士山噴火に関する最新の被害想定」が大きな衝撃を呼びました。もし噴火が起きた場合、風向きによってはわずか数時間で火山灰が首都圏に到達し、東京23区はもちろん、神奈川・千葉・埼玉といった広域で交通やライフラインが寸断されると試算されています。新幹線や高速道路の運休、発電設備や上下水道の停止、さらにはインターネットを含む通信障害が長期に及ぶ恐れがあるのです。
さらに、火山灰による経済被害は数兆円規模にのぼるとされ、物流や金融システムに深刻な混乱が生じる可能性があることも明らかになりました。ニュースやSNSではこの発表が瞬く間に拡散し、多くの人々が「災害は必ず来るが、いつ来るかは分からない」という現実を突き付けられ、不安を新たにしたのではないでしょうか。
この「分からない」という不安を、少しでも解消しようとする研究が進んでいるのが地震予知技術の分野です。なかでも注目されているのが「高島式地震予知技術」です。従来「地震予知は不可能」とされてきましたが、実際には前兆波(破壊核形成信号)を捉えることで、その数日から十数日後に実際の地震が発生する事例が相次いで報告されています。

埼玉県鈴谷での最新観測と対応する地震
今回の観測では、富山県東部では前兆波は確認されませんでした。一方で埼玉県南部の鈴谷では4件の前兆波を捉え、いずれも地震が発生しています。また、仙台の観測装置は稼働に向け調整中のため、今回の解析には利用できませんでした。
1.前兆波検知結果:2025年8月19日 9時31分 前兆波検出 Max30mvp-p
●発生した地震:2025年8月23日埼玉県北部M3.8 D=130 L=67(鈴)

2.前兆波検知結果:2025年8月20日 10時10分 前兆波検出 Max32mvp-p
●発生した地震:2025年8月25日茨城県南部M3.1 D=60 L=43(鈴)

3.前兆波検知結果:2025年8月25日 9時24分 前兆波検出 Max87mvp-p
●発生した地震:2025年8月30日宮城県沖M5.7 D=40 L=375(鈴)

4.前兆波検知結果:2025年8月25日 8時30分 前兆波検出 Max42mvp-p
●発生した地震:2025年8月30日福島県沖M4.7 D=40 L=250(鈴)

仙台での観測──東北エリアへの拡張
さらに2025年8月には、仙台市泉区に新たな観測点が加わりました。これまで首都圏と北陸に限られていた高島式の観測網が、東北へと広がったのです。
- 8月5日 16時31分:27秒間の前兆波を検出(最大振幅38mVp-p)
- 予測:8月13日±5日、仙台150km圏内でM3〜M4規模の地震(発生確率80%)
実際にその直前、7月31日に検出された前兆波は、わずか2日後の8月2日に福島県沖で起きたM4.2の地震と一致していました。観測と予測が続けて的中したことで、「前兆波観測による予知」が仙台周辺でも有効であることが確認されました。
これは、3.11東日本大震災の震源域を含む東北地方で、巨大地震やその余震を対象とした予知が可能になることを意味します。防災上の意義は極めて大きいといえるでしょう。
科学的背景──破壊核形成信号とは
高島式地震予知の核心は「破壊核形成信号」の検出です。地震はプレートのひずみが限界に達し、一気に解放されることで発生します。その直前、地中では微細な揺らぎが発生しており、これが前兆波として観測されます。
通常の地震計では感知できないほどの微弱な信号ですが、高島式では観測室全体を“共鳴装置”として利用し、音響共鳴の原理で1000倍以上に増幅することで検出を可能にしました(特許第6995381号)。ここで紹介する図面は、この仕組みで得られた観測データを基に作成した模式図であり、実際の生波形そのものではありません。
統計的にも次のような対応関係が確認されています。
- 太平洋プレート起因の地震:前兆波検出後15日以内に発生
- フィリピン海プレート起因の地震:前兆波検出後45日以内に発生
今回の事例は、まさにこの理論に沿ったものでした。
「備えあれば憂いなし」──噴火も地震も共通する課題
富士山噴火と地震に共通しているのは、「必ず来るが、正確な日時は分からない」という点です。政府が発表した被害想定も、観測された前兆波も、いずれも「大きな災害を完全に避けることはできないが、備えるための時間やきっかけが示されている」というメッセージを突き付けています。だからこそ私たちにできることは、“今できる備えを怠らない”ことです。
- 飲料水・非常食の備蓄
- モバイルバッテリーや懐中電灯の常備
- 家族との避難場所や連絡手段の確認
- 防災アプリや地域の避難訓練の活用
こうした小さな準備が、いざというときに大きな差となります。
結論──「防災の日」に考える、自分の安全は自分で守ることの意味
富士山噴火にせよ、首都直下地震にせよ、日本で暮らす以上、自然災害は避けて通れません。しかし、技術の進歩によって「前触れ」を知る可能性は広がってきました。埼玉や仙台での観測事例はその実例です。
ただし、どれほど予知技術が進んでも、最終的に自分と家族を守るのは自分自身の行動です。今日が「防災の日」であることをきっかけに、防災グッズを備える、避難経路を確認する、地域の訓練に参加する──こうした日常的な準備を改めて見直すことが重要です。小さな備えの積み重ねこそが、災害から命を守る確かな手段になります。
【関連リンク】
◎ 高島式地震予知の解説記事一覧:
https://liquiddesign.co.jp/category/blog/earthquake/
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https://www.mag2.com/m/0001698630

