「4月26日に首都直下地震が起きる」や「2025年7月5日に隕石が落ちて地球が壊滅する──」という予言情報が一部ネットで注目を集めたのは、ほんの数か月前のことでした。
動画投稿サイトでは“巨大隕石の軌道シミュレーション”や“人類滅亡カウントダウン”が再生数を伸ばし、SNS上でも「地震雲が出た」「空が赤い」など、真偽不明の不安情報が拡散されました。

ですが、これらの情報に科学的な根拠は一切存在しません。
一方、静かに、そして確かに私たちの足元で進行している「現実的な異変」──それが、地中の応力による地震核形成信号=地震の前兆波です。

◎6月中旬、埼玉県南部で地震の可能性:観測された2つの“前兆波”

2025年5月31日〜6月8日の間に、埼玉県さいたま市南部(鈴谷)に設置された観測装置が、2度の強い前兆波を記録しました。
これは、40年以上の実績がある高島式地震予測法による定点観測に基づいたもので、過去にも実際に複数の地震を事前に捉えたことで知られています。

1.6月4日(9時7分)に観測された前兆波(強め)

  • 持続時間:117秒
  • 主周波数:12.7Hz, 9.8Hz Max206mvp-p
  • 最大振幅:206mVp-p
  • 予想発生日:6月12日 ±5日(発生確率は80%)
  • 予想震源地:さいたま市鈴谷付近(直下型) M4~5
  • 想定震度:埼玉県南部で震度3〜4程度

この波形は「典型的な地震前兆波」とされ、精度の高い予測が可能なタイプに分類されます。なお、富山県東部では6月4日に特異な波形は観測されておらず、首都圏直下地震ではありません。

2.6月7日(14時33分)に観測された前兆波(やや弱め)

  • 持続時間:253秒
  • 主周波数:12.3Hz, 9.8Hz  Max88mvp-p
  • 最大振幅:88mVp-p
  • 予想発生日:6月15日 ±5日(発生確率は80%) 
  • 予想震源地:さいたま市鈴谷付近(直下型) M4~5
  • 想定震度:震度1〜2程度

前回と比べると振幅は小さいものの、観測地点が同一であり、かつ期間が接近していることから、地殻の不安定状態が継続している可能性を示唆しています。

◎ 隕石や予言よりも「日々の地中変化」を見つめる重要性

たしかに、巨大隕石の衝突リスクはゼロとは言い切れません。
しかし「7月5日」と日時を特定するほど科学は進んでいませんし、現実に起きている微細な地殻の変化こそが、私たちが注意すべき対象です。

2024年には高島式観測によって、千葉県でのM4.9の地震が事前に予測され的中するなど、観測データに基づいた地震予測は信頼できる手段として実績を積み重ねています。

◎ 震度3〜4の地震とは?落ち着いた対処が大切

震度3〜4の地震は、「ガタガタッ」と感じる程度で家具が多少揺れる可能性はありますが、日常生活に大きな支障が出るレベルではありません。

しかし、だからこそ「準備しておいてよかった」と思える内容はたくさんあります。

◎ 今すぐ見直せる5つの防災チェック

1.家具の固定(突っ張り棒、転倒防止マットなど)

2.懐中電灯・モバイルバッテリーの動作確認

3.保存食・飲料水の在庫チェック(最低3日分)

4.家族の連絡手段の確認(LINE・電話・集合場所など)

5.地震速報アプリの通知設定(Yahoo防災、NHKニュースなど)

こうした備えは、万が一のときだけでなく、ふだんの安心感にもつながります。

◎ 今回の観測で分かること:パニックではなく、情報の活用を

今回の観測情報は「必ず起きる」という断定ではなく、“起きる可能性がある”からこそ備えようという考え方に基づいています。

ネットの憶測や予言に惑わされるのではなく、科学的な観測と冷静な行動こそが、私たちの命を守る最も現実的な手段です。

まとめ

・  「4月26日地震予言」や「7月5日隕石説」と異なり、今回の情報は観測データに基づいた現実的なもの

・  6月4日・7日に埼玉県鈴谷で2回の前兆波を観測

・  地震の可能性:6月12日~15日、M4~5、震度3〜4

・  不安を煽るのではなく、備えるきっかけとして活用を

・  家庭でも今すぐできる対策からはじめよう

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