はじめに
当社の身体非接触型バイタルセンサー「Vitalセンサー」が、2025年に特許第7710729号として正式に登録されました。
このセンサーは、赤ちゃんの呼吸や体動を触れずに検知する当社ベビーセンサーに搭載されている中核技術であり、介護施設や睡眠解析にも応用されています。
「赤ちゃんに何も着けず、マットの下から呼吸の動きがわかるなんて本当?」「睡眠ステージを非接触で解析ってどうやって?」という疑問をお持ちの方へ、本記事ではその仕組みと技術の裏側を、わかりやすく解説します。

カラダに触れずに呼吸や心拍の動きを測る「Vitalセンサー」とは?
Vitalセンサーは、空気圧の変化からバイタル情報を捉える圧電センサーです。たとえば、ベビー用のセンサーマットに内蔵されており、赤ちゃんが寝ているだけで呼吸・心拍・体動の情報をリアルタイムで取得できます。
心拍や呼吸によるわずかな圧力の変化を、センサー内のピエゾ素子が感知し、それを電気信号に変換。呼吸停止や無呼吸の兆候があれば、即座にアラートを出して保育士や家族に知らせる仕組みです。
特許取得のポイント①:一体成形で壊れにくく
Vitalセンサー最大の特徴のひとつが、センサー本体とチューブを一体成形で製造している点です。従来の圧力センサでは、金属パーツや接着剤によってパーツを接合していたため、時間経過とともにチューブが外れるなどのトラブルが起きがちでした。
これに対し当社のセンサーは、合金の射出成形によって一体型の構造を実現。接着剤不要で、強度が高く、落下や衝撃にも強い設計となっています。チューブの根元を肉厚構造にすることで、より一層の耐久性が確保されています。
特許取得のポイント②:ノイズを防ぐ金属めっき
医療現場や高湿度な環境では、CTスキャンなどの電磁波などのノイズがセンサー精度を低下させることがあります。Vitalセンサーでは、この点にも対応。
センサーボディに金属めっき処理を施すことで、外部からの電磁ノイズを遮蔽。その結果、極めて微弱な電圧変化しか出さないピエゾ素子の信号も、安定して読み取れるようになりました。
特許取得のポイント③:量産性にも優れた構造
一体成形の構造は、生産性にも大きなメリットがあります。Vitalセンサーは、すでに国内で1万台以上(保育施設・介護施設・病院向け)導入済み。部品点数を減らし、組立工数を抑え、量産にも適した設計になっているため、OEM供給や海外展開も視野に入れた拡張性を持ちます。
耐久性を証明した各種環境試験
Vitalセンサーは、以下のような過酷な環境耐久試験をクリアしています:
- 高温保存(85℃で480時間)
- 低温保存(−30℃で480時間)
- 高温高湿(85%RHで480時間)
- 静圧印加試験(±9kPa)
- 熱衝撃(0⇔70℃×10サイクル)
- 振動・落下・衝撃試験
すべての条件において、出力信号の安定性と構造の変化なしが確認されています。
SleepKeaとの連携:睡眠解析でも高精度
当社は、Vitalセンサーを活用した非接触型の睡眠解析アプリ「SleepKea」も展開しています。このアプリは、呼吸や体動データから睡眠ステージ(浅睡眠・深睡眠など)や入眠時刻、起床時刻を推定し、“普段通りの睡眠環境で、非接触かつ高精度な解析”を可能にしています。
実証結果:PSGと80%以上の一致率
2023年に「RESM新横浜 睡眠呼吸メディカルケアクリニック」にて実施した比較実験では、
- 医療機関の脳波センサ(PSG)とSleepKeaによる深睡眠の時間軸の一致率は80%以上
- 入眠・起床タイミングの検出も医療機器に近い精度
- スマートウォッチよりも明らかに高精度
という結果が得られました。
さらに、SleepKeaは将来的にアスリートの睡眠改善や、いびき・無呼吸の傾向把握にも応用可能で、カラダに装着せずに、自然な睡眠状態を記録できることが最大の魅力です。

実際の製品展開と用途
当社のVitalセンサーは、現時点では以下のような製品に搭載されています:
| 製品カテゴリ | 主な用途 | 導入実績 |
| ベビーセンサー(IBUKI、Baby AI他) | SIDS(乳児突然死症候群)の予兆監視 | 保育園6,000台以上 |
| 介護センサー | 離床検知・呼吸異常検知 | 介護施設8,000台以上 |
| 睡眠センサー | 睡眠ステージ解析/いびき検出 | SleepKeaアプリ連携製品 |
| 地震予知(高島式地震予知装置) | 地震の前兆波は家屋で検知する | Vitalセンサ改良型として国内2箇所設置 |
おわりに
特許取得によって裏付けられたVitalセンサーの構造技術と実用性は、赤ちゃんから高齢者まで、多様な世代の睡眠中の見守りに応用されています。
非接触・高感度・高耐久・高精度を備えたこのセンサーは、医療・保育・睡眠といった人の暮らしに密接な分野にとどまらず、睡眠マットレスや健康管理プラットフォームとの連携など、今後の展開にも大きな可能性を秘めています。
また、当社のVitalセンサーは、一般的な圧力センサーとは異なる空気動圧式センサーという独自方式を採用しています。これは、室内の空気のわずかな動きを正確にとらえる超高感度のセンサーであり、その応用範囲は非常に広く、実際に高島式地震予知システムのセンサーデバイスとしても活用されています。
現時点では、保育、介護、医療、睡眠、地震予知、運転姿勢センサー、いびきセンサー、さらに共振美顔器といった領域に開発実績がありますが、今後さらに新たな分野への応用も期待しています。
たとえば、住宅環境の監視、セキュリティ、遠隔モニタリング、動物行動解析、気流の可視化など、アイデア次第でさまざまな可能性が広がると考えています。
たとえば、住宅環境の監視、セキュリティ、遠隔モニタリング、動物行動解析、気流の可視化など、アイデア次第でさまざまな可能性が広がると考えています。
もし本センサーを活用できそうな新たなアイデアや連携のご提案がありましたら、ぜひお気軽に下記よりご連絡ください。**ご希望の方には、Vitalセンサーの詳細仕様書をお送りいたします。

▶ お問い合わせ先:
株式会社リキッド・デザイン・システムズ
https://liquiddesign.co.jp/contact/
今後も当社では、この技術をもとに「触れずに守る」見守りソリューションを広く社会に届けてまいります。皆様の想像力と技術の力が、新しい応用分野を切り拓くことを願っています。

