前回の記事「血圧を測るだけで血糖値がわかる?」では、血糖値と血圧の間に相関がある可能性と、それを活用した“痛くない”血糖値推定技術についてご紹介しました。

今回は、さらに見落とされがちな「血糖リズム」の重要性と、日本の糖尿病治療の課題、そして“新しいセルフケア”の可能性を紹介します。

「甘いものがやめられないのに痩せない」

「午後になるとだるくて何も手につかない」

「最近スキンケアが効かない」——そんな“なんとなく不調”、思い当たることはありませんか?

実はその原因、“血糖の乱れ”にあるかもしれません。そんな症状が続く方は、実は血糖の変動=“血糖リズム”が関係している可能性があります。

近年の医学研究では、以下のようなことが明らかになっています:

項目内容根拠(参考文献)
血糖値の急上昇(血糖スパイク)脂肪合成を促進し、太りやすくなる東京大学医科学研究所・厚労省資料など
血糖の乱高下眠気・イライラ・肌荒れなどを引き起こす順天堂大学女性医療研究センター
低GI食品満腹感が持続しやすく、過食を防ぐ日本糖尿病学会・栄養士会
血糖と肌の関係高血糖により肌の糖化(しわ・くすみ)の原因となる日本美容皮膚科学会

血糖値が乱れると、体はどうなる?

近年の研究では、食後の急激な血糖上昇(血糖スパイク)と、その後の急降下(リバウンド低血糖)が、さまざまな不調の原因となることがわかってきました。

1. 太りやすくなる:血糖が急上昇すると、インスリンが過剰に分泌され、脂肪を蓄えやすくなります。

2. だるさ・眠気・イライラ:血糖が乱れると、神経伝達や自律神経に影響が出て、午後の不調につながります。

3. 肌の不調:高血糖状態が続くと、肌のコラーゲンが“糖化(AGEs)”しわ・くすみの原因に。

つまり、「血糖リズムの乱れ」が、ダイエットや美容、日常の不調に直結しているのです。

ところで、血糖ってどうやって測るの?

本来、血糖値の測定は、採血や穿刺(針で皮膚を刺す)が必要で、多くの人にとっては痛い・面倒・続かないものです。自分の血糖状態に気づきたくても、測る手段が“ハードル高め”なのが現実でした。

そんな中、当社で開発中の新技術が、「血圧データから血糖の傾向を推定する」という、“痛くない”新技術です。

 “針を使わない”血糖セルフチェックがあればいいね!

株式会社リキッド・デザイン・システムズが昨年リリースした『五行ドクター』は、血圧測定データから「未病を見える化」する健康管理WEBアプリです。近く配布が中止となる血圧手帳や健康手帳に代わる、美容と健康記録と改善アドバイスのための無料サービスです。
このアプリは、東洋医学の「五行(木・火・土・金・水)」理論をベースに、血圧データから以下のような情報を導き出すことが可能です:

  • 今日の未病傾向と改善のためのおすすめの食事・運動
  • 今日のストレスとその記録と傾向
  • 今日の肌の状態とその改善アドバイス

現在は、実測血糖値と推定値の比較検証を行い、誤差10%以内での推定に成功するケースが80%以上という結果も得られています。詳しくはこちらの記事で紹介。

その結果をもとに、今後は以下のような活用が期待されています:

  • 今日の体調に合った食べ方・低糖質メニューの提案
  • 肌の状態に合わせた“整え方”のヒント
  • 糖分の摂取傾向から、自分に合ったダイエット法の発見

そして何より、針を刺さずに“自分の糖バランス”に気づける方法が実現すれば、血糖管理のハードルが一気に下がり、誰もが気軽に体調の兆しをつかめる時代が到来します。

糖質とカロリー制限食、これまでの常識は本当に正しいの?

このような血糖リズムの重要性が注目される一方で、日本のカロリー制限食には大きな課題があると専門家は指摘しています。

問題1:エビデンスの乏しい「カロリー制限食」

日本では今でも「カロリー制限」が中心の糖尿病食が指導されていますが、実際に血糖を急上昇させるのは糖質のみです。米国では「糖質だけが血糖に影響する」とする生理学的知識が共有され、食事指導も糖質制限中心にシフトし、合併症が大幅に減少しています。

一方、日本では依然として「高糖質・カロリー制限」の食事が一般的。その結果、合併症の患者数は20年以上ほとんど減っていません。

問題2:血糖変動による酸化ストレスへの対策不足

高血糖や血糖変動は、酸化ストレスの原因となり、老化・がん・動脈硬化・アルツハイマー病などの関連が指摘されています。しかし、日本の治療方針ではこれに対する対策が不十分です。

つまり、本当に注目すべきは、『数値』よりも『血糖リズム』かもしれません。

がんばる前に、整える。美容とダイエットの新しい習慣へ

ダイエットも美容も、「気合」や「制限」だけでは続きません。まずは、体のサインにやさしく気づくことからです。

『五行ドクター』は、そんな“がんばらない整え方”をサポートするツールとして、日常に取り入れられる新しいセルフケア習慣を提案しています。『血糖リズム』に気づくことが、明日の調子をつくる第一歩。

「なんとなくの不調」が気になったら、是非自分の血糖リズムに目を向けてください。

注意:『五行ドクター』は、東洋医学の考え方をベースにしたセルフケア支援ツールです。医療機器ではなく、医学的な診断や治療を目的とするものではありません。体調に不安がある方は、専門の医師にご相談ください。