日本政府が示した衝撃のシナリオ

2025年9月5日、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」に関する最新の報道発表を行いました(南海トラフ地震関連解説情報について -最近の南海トラフ周辺の地殻活動- | 気象庁)。政府の中央防災会議が公表した被害想定によれば、もし南海トラフで巨大地震が発生した場合、津波による死者は最大32万人、住宅被害は最大で238万棟に達すると試算されています。さらに、太平洋岸を中心に長期間の停電や断水が想定され、経済的被害は全国で1410兆円に及ぶと見込まれています。

加えて、南海トラフ巨大地震の発生確率は今後30年以内に70〜80%とされ、発生時期は「いつ起きても不思議ではない」と警告されています。つまり、このシナリオは未来の仮定ではなく、私たちが今まさに直面している現実そのものです。だからこそ、普段からの「科学的な備え」が求められます。

前兆波観測という新しい地震予知の可能性

従来、地震は「予知不可能」とされてきました。2011年の東日本大震災も直前まで予測できなかったことは記憶に新しいでしょう。背景には、プレート境界の巨大な応力が突発的に解放されるという従来の学説があります。
しかし近年、地震直前に岩盤が発する“微細な信号”──破壊核形成信号(前兆波)を検出する研究が進んでいます。高島式地震予知技術は、その最前線を行く技術です。国内3か所の観測室の共振周波数を利用して地面から伝わる微振動を1000倍以上に増幅し、通常の地震計では捉えられない信号を観測します。これにより、1〜15日先の地震を推定可能にしました。

実例:観測された前兆波とその後の地震発生

実例:観測された前兆波とその後の地震発生
例えば、以前当記事では2025年7月23日、埼玉県南部・鈴谷の観測拠点で2件の前兆波が記録されたことを紹介しました。

  • 1件目:9時18分、持続55秒、周波数12.3Hz/10.1Hz、最大振幅57mVp-p
  • 2件目:12時54分、持続20秒、周波数12.2Hz/10.4Hz、最大振幅42mVp-p

この解析結果から、7月31日±5日にM3〜M4規模の地震が80%の確率で発生すると予測され、実際に7月30日には千葉県北西部でM3.6の地震が発生しました

8月30日〜9月6日の解析では、9月1日に埼玉県南部で4件の前兆波が観測されました。なお、富山県東部と仙台の観測所では前兆波は観測されませんでした。

【図左9月1日9時18分  図右9月1日12時54分 ※代表的2件を掲載】

 

その後、予測通り9月5日に茨城県南部でM4.3の地震が発生しています。

これらは、前兆波観測と実際の地震発生が結びついた最新の具体例であり、前兆波の有効性を示す重要なデータといえます。

前兆波とプレート境界の法則

観測された前兆波と地震発生には一定の法則があります。

  • 太平洋プレート由来の地震:前兆波観測から15日以内に発生
  • フィリピン海プレート由来の地震:前兆波観測から45日以内に発生

日本列島は糸魚川―静岡構造線を境に、東は太平洋プレート、西はフィリピン海プレートの影響を強く受けています。南海トラフはまさに両者がせめぎ合う最前線であり、前兆波観測の意義は極めて大きいといえます。

南海トラフ巨大地震にどう備えるか

もし南海トラフでM8〜M9級の地震が発生すれば、東日本大震災を超える被害が想定されます。その際に重要なのは「観測情報を行動に変えること」です。

  • 家庭での備え:3日分以上の水と食料、モバイルバッテリーを常備し、避難所ルートを家族で確認。
  • 地域での備え:ハザードマップの確認、津波避難ビルの把握、住民ネットワークの構築。
  • 企業・学校での備え:業務継続計画(BCP)の策定、避難訓練の実施。

こうした備えは「やるかやらないか」で被害規模を大きく左右します。

結論:前兆波観測が示す「備えられる未来」

地震予知は“占い”ではなく、観測と解析に基づく科学的アプローチです。2025年7月や9月に観測された前兆波とその後の地震は、その有効性を示す最新事例です。
南海トラフ巨大地震は30年以内に70〜80%の確率で発生するとされます。だからこそ、「突然の災害に怯える」のではなく、「前兆を活用して備える」ことが求められます。それが科学の進歩によって可能になった新しい防災の形であり、私たちの命と暮らしを守る最善の道です。

【関連リンク】
◎ 高島式地震予知の解説記事一覧:https://liquiddesign.co.jp/category/blog/earthquake/
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