2025年9月末から10月中旬にかけて、日本海溝の外側、北緯37.5度・東経144.5度付近の海域で微小な地震活動が頻発しました。この海域は「アウターライズ地震」と呼ばれる、海溝外側のプレート上で発生する巨大地震の震源域として知られています。その後、10月中旬以降、突如として活動が静まり返りました。
高島氏はこの現象を「典型的な地震前の静穏化現象」と分析し、巨大地震・巨大津波の発生を強く警戒しています。
小地震頻発から静けさへ――巨大地震前に起きる“静穏化現象”とは
アウターライズ地震とは、沈み込む海洋プレートが曲げられることで上方に反発し、海溝外側で断層破壊を起こすタイプの地震です。このタイプの地震は、陸上の揺れが比較的小さい一方で、海底の隆起や沈降による巨大津波が発生するという特徴があります。
今回の観測では、9月末から10月中旬にかけてマグニチュード4前後の小地震が連続して発生していました。ところが、その後に活動が急減。地震学的には「静穏化」はエネルギー蓄積の最終段階を示すことが多く、過去の巨大地震（例：2004年スマトラ沖地震、2011年東北沖地震）でも同様のパターンが確認されています。
仙台・埼玉・富山で検出された地震の前兆波信号
高島氏は、破壊核形成信号（前兆波）の観測を長年続けており、これまで埼玉県南部（鈴谷）・富山県東部（入善）に加え、今回新たに仙台での観測を開始しました。
高島氏によると、巨大地震の前兆波は最大で約400km離れた地点まで伝播するため、今回の震源想定域から仙台（約350km）・埼玉（約380km）はまさに観測可能範囲に位置します。
“静穏化”が示す巨大地震直前のサインとは？
地震前には、数日から数週間にかけて微小地震が活発化し、その後急に途絶える「静穏期」が現れることがあります。これは、地殻内部でひずみが限界に達し、エネルギーが限界まで蓄積された最終段階を示すことが多く、最終的に一気に破壊が進む前段階とされます。高島氏は今回の状況を次のように指摘します。
「この静穏期は、まさに“嵐の前の静けさ”といえます。プレートの応力が最大点に達した状態で、破壊核が形成されつつある段階です。この地帯は2011年の東北沖地震の余震活動域の延長線上にあり、その後10年以上経過した今も、プレート間にひずみが再蓄積していると考えられます。つまり、「再び同規模のエネルギーが解放される条件」が整いつつあるということです。
巨大地震が発生した場合の規模と津波被害の想定
もし今回の静穏化がアウターライズ地震の前触れである場合、想定される地震規模はマグニチュード8クラス、震源の深さは20〜40km前後。陸地での揺れは震度3〜4程度に留まる可能性がありますが、津波の高さは場所によっては5〜20mを超える恐れがあります。
これは、揺れの小ささに対して津波被害が突出して大きくなる典型例であり、過去のスマトラ沖地震（2004年）やケルマディック諸島地震（2021年）でも同様の傾向が報告されています。特に、宮城・福島・茨城の沿岸部では、短時間で津波が到達するリスクがあり、海沿いの施設や港湾地域では、「揺れを感じなくても津波が来る」という認識が不可欠です。
前兆をどう受け止め、どう備えるか
今回の高島式地震予知による推測は、過去の実績から見ても、およそ10％以上の確率で杞憂に終わる場合があります。それでもなお、この観測と警戒には重要な意味があります。なぜなら、自然現象は人間の科学ではいまだ完全に予測できず、「兆候を無視すること」のほうが、はるかに大きなリスクを伴うからです。地震前に観測される微弱な信号（前兆波）は、地殻深部で起きている変化を示す貴重な情報です。それをとらえた段階で、日常の中に小さな備えを積み重ねることこそ、自分自身や家族の安全を守るうえで最も現実的な行動といえます。「地震を恐れる」のではなく、「地震に備える」。その意識が、いざというときに“いのち”を守る力になります。
まとめ：いま起きているのは“嵐の前の静けさ”か？
- 北緯37.5度・東経144.5度付近の日本海溝外側で、9月末から微小地震が頻発 → 10月中旬に静穏化
- 仙台・埼玉・富山の三点観測体制で破壊核形成信号を検出
- 「静穏期」は地殻破壊直前に現れる典型的な兆候
- 想定規模はM7〜M8クラス、津波高さ5〜20mの可能性
- 今後1〜2週間は特に太平洋沿岸部での津波警戒が必要
地震予知は「当てる」ためのものではなく、「備える」ための科学です。高島式地震予知研究会では、今後も前兆波の観測データを公開し、地域防災や減災に役立つ最新情報を発信していきます。
【関連リンク】
◎ 高島式地震予知の解説記事一覧：https://liquiddesign.co.jp/category/blog/earthquake/
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