2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするM7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で震度7を観測しました。震源の深さは約10kmで、東北東―西南西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型の浅い地震です。日本活断層学会は、震源位置や地殻変動などから、日奈久断層の活動による可能性が高いとみています。
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気象庁によると、その後も熊本県熊本地方や天草・芦北地方で震度5弱を観測する地震が相次ぎました。7月28日にはM6.1、29日にはM5.8、8月1日にもM4.7の地震が起きており、8月2日時点でも地震活動は活発な状態です。
消防庁の8月3日7時30分時点の速報では、死者38人、負傷者117人、住家被害2,205棟が確認されています。被害調査は続いており、数字は今後変わる可能性があります。気象庁は、揺れの強かった地域では、大地震の発生から1週間程度は最大震度7程度の地震に注意するよう呼びかけています。防災科学技術研究所
熊本では2016年にも、4月14日のM6.5の地震から約28時間後に、さらに大きいM7.3の地震が発生しました。当初大きな地震と考えられた揺れが、後から見ると前震だった事例です。最初の地震が、その地域で最大の地震とは限りません。今回もM7.1の後に規模の大きな地震が続いているため、単発の地震として見るのではなく、一連の活動として経過を確認する必要があります。

今回、私たち高島式地震予知グループが強く感じたのは、九州に観測点がないことです。もし当観測所が九州地区にもあれば、今回の熊本地震の前に前兆波を観測できた可能性があります。実際に検出できたかどうかは今となっては確認できませんが、少なくとも地震前後の連続データを残し、前兆波の有無を検証できました。何らかの形で情報提供に役立てたかもしれないと考えています。
高島式地震予知は、現在、埼玉県南部と富山県東部の2か所に観測所があります。現在の観測範囲は、本州のフォッサマグナ東部から東北地方付近までです。これまでの独自集計では、前兆波を観測した後に地震が起きた割合は約90%です。ただし、これは当研究会の観測記録に基づく数値であり、第三者機関が認定した予測精度ではありません。
7月29日、埼玉県南部鈴谷で1時間間隔の前兆波
7月26日から8月2日までの観測では、埼玉県南部の鈴谷観測点で、7月29日に2つの前兆波を検出しました。
・7月29日8時20分
・7月29日9時22分
・総持続時間:100秒
・周波数:11.8Hz、10.0Hz
・最大振幅:48mVp-p
➀ 7月29日 8時20分 (下グラフ)

➁ 7月29日 9時22分 (下グラフ)

2つの信号は約1時間の間隔で観測されました。高島式地震予知の解析結果は次の通りです。
・地震発生予想日:8月5日±5日
・発生確率:80%
・震源地:鈴谷から150km以内
・予想規模:M3~4
・鈴谷での予想震度:1~2
予測期間は7月31日から8月10日までです。今回の信号は、熊本地震の前兆波と考えているわけではありません。観測されたのは熊本地震の翌日であり、解析上の震源範囲も鈴谷から150km以内です。そのため、関東周辺で発生するM3~4程度の地震に対応する可能性を見ています。7月26~8月2富山県東部、埼玉県南部鈴谷の解析結果.docxDOCX
今回の特徴は、ほぼ同じ時間帯に2つの信号が続いたことです。ただし、信号が2回出たから地震が2回発生するとは限りません。同じ地殻活動に伴う一連の波形である可能性もあるため、総持続時間、周波数、振幅をまとめて判定しています。
富山県東部では前兆波を観測せず
同じ期間、富山県東部の観測点では、対象となる前兆波は確認されませんでした。高島式の今週の判定では、首都圏直下地震を示す信号は観測されていません。
ただし、「前兆波がなかったため首都圏直下地震は起こらない」と科学的に断定することはできません。今回の結果は、現在の観測点と判定基準の範囲で、対象信号を確認しなかったという記録です。
鈴谷ではM3~4を示す信号が観測され、富山県東部では大きな地震を示す信号が確認されなかったため、今週は「関東周辺の比較的小規模な地震の可能性」と「首都圏直下型の大地震を示す信号はない」という2点を分けて見る必要があります。
今回の解析で注意したいポイント
今回の予測で注目する期間は、8月5日を中心とする前後5日間、範囲は鈴谷から150km以内です。実際に地震が発生した場合は、発生日、震源距離、マグニチュード、鈴谷での震度を照合します。
予測期間内に地震が起きなかった場合や、範囲外で発生した場合も結果として記録します。前兆波の有無だけでなく、外れた事例を含めて公開することが、解析方法の精度と限界を確認するために必要です。
熊本地震が示した観測網の課題
今回の熊本地震は、観測点がない地域では、前兆波の有無を検証することさえできないという課題を改めて示しました。九州に観測点があれば、今回の地震を予測できたと断言することはできません。しかし、発生前の波形が残っていれば、M7.1の前にどのような変化があったのかを事後検証できます。
九州を含む各地域に観測点を増やすことができれば、地震前後のデータを比較し、高島式地震予知の可能性と限界をより明確にできます。観測場所の提供、共同研究、測定機器の設置や保守に協力いただける企業、自治体、研究機関を募集しています。
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【関連リンク】
◎ 高島式地震予知の解説記事一覧
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