2026年6月16日午後7時46分ごろ、茨城県南部を震源とするM5.5の地震が発生しました。

群馬県太田市、千代田町、埼玉県加須市、本庄市、美里町で最大震度5弱を観測し、さいたま市や熊谷市、横浜市神奈川区などでも震度4の揺れを記録しました。

震源の深さは約50km。気象庁によると、フィリピン海プレートと陸側プレートの境界付近で発生した地震とみられています。

幸い大きな被害は確認されていませんが、関東各地で強い揺れが観測されました。実は、この地震が発生する約1週間前、高島式地震予知技術による観測では、埼玉県南部の鈴谷観測点で複数の前兆波が観測されていました。

今回の地震と観測データを比較し、予測結果を検証してみます。

6月9日に複数の前兆波を観測

6月9日から16日までの観測期間中、埼玉県南部の鈴谷観測点では2つの前兆波が観測されました。

① 6月9日11時17分の前兆波

観測データ

・総持続時間:55秒
・周波数:11.3Hz、10.2Hz
・最大振幅:51mVp-p

解析結果

・発生予想日:6月16日±5日
・震源地:鈴谷から150km以遠
・規模:M4クラス
・鈴谷の揺れ:震度1~2

という結果でした。

② 6月9日19時27分の前兆波

同日の夜にも別の前兆波が観測されています。

観測データ

・総持続時間:109秒
・周波数:11.7Hz、10.0Hz
・最大振幅:49mVp-p

解析結果

・発生予想日:6月16日±5日
・震源地:鈴谷から150km以内
・規模:M4クラス
・鈴谷の揺れ:震度1程度

と推定されていました。

実際に発生した地震との比較

その後、6月16日午後7時46分に茨城県南部M5.5の地震が発生しました。

今回の地震の特徴は、

・発生日:6月16日
・震源:茨城県南部
・深さ:約50km
・規模:M5.5
・鈴谷観測点からの距離:約37km

というものでした。

今回の解析結果と比較すると、

的中した点は

・発生時期は予測期間内
・震源距離は150km以内
・関東圏での地震発生を事前に検知

という点では、前兆波と今回の地震には対応関係があった可能性があります。

特に6月9日19時27分に観測された109秒の前兆波は、今回の地震に対応した前兆波であった可能性が最も高いと考えられます。

次に、予測と異なった点は

予測と実際の結果に差があった部分もありました。

予測では

・規模:M4クラス
・鈴谷の揺れ:震度1程度

と推定していました。

しかし実際には、

・地震規模:M5.5
・鈴谷周辺:震度3~4程度
・埼玉県北部では最大震度5弱

つまり、

「地震の発生そのものは捉えていた可能性が高い」

一方で、

「規模と揺れの強さを過小評価した」

という結果になります。

なぜ揺れが予想より強くなったのか

今回の解析資料では、

関東フラグメント内地震で、実際の鈴谷の揺れは震度4の中型地震が発生した

と記録されています。

関東地方は複数のプレートが重なるため、国内でも地下構造が複雑な地域です。太平洋プレートとフィリピン海プレートが重なりながら沈み込んでおり、その上に陸側プレートが存在しています。

今回の震源はフィリピン海プレートと陸側プレートの境界付近でした。

東京大学地震研究所の酒井慎一教授も、

「この地域は地下構造が複雑で、以前からM5クラスの地震が発生しやすい地域」

と指摘しています。

同じM5クラスでも、

・震源の深さ
・断層の向き
・揺れが伝わる地盤条件

によって実際の震度は大きく変わります。

今回の地震では、観測された前兆波から地震発生の兆候は捉えられていたものの、地盤条件やプレート境界特有の増幅効果により、予想より強い揺れになったと考えられます。

東北沖M6予測との関係

前回の記事では、仙台観測点で総持続時間521秒という長時間前兆波が観測され、東北沖周辺でM6以上の地震発生の可能性についてお伝えしました。

今回発生した茨城県南部M5.5の地震は、その予測とは別系統の前兆波によるものと考えられています。

今回の関東地震が発生したことで東北沖予測が終了したと判断できる材料は、現時点では確認されていません。

今回の検証結果から見えてきたこと

今回の茨城県南部M5.5地震は、観測結果と実際の地震を比較できる貴重な検証事例となりました。

結果をまとめると、

【的中した点】

・地震発生時期
・関東圏での発生
・震源距離

【課題として残った点】

・規模推定
・震度推定

という結果になります。

予知技術の検証において重要なのは、成功事例だけでなく、予測と異なった部分も公開し、継続的に精度向上を図ることです。

今回は発生時期や震源距離を捉えられた一方で、規模や震度の推定には改善の余地が残る結果となりました。

今後1週間は引き続き注意

気象庁は、今後1週間程度は最大震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。

特に発生後2~3日程度は比較的大きな地震が続くこともあります。

関東地方にお住まいの方は、

・家具の転倒防止確認
・モバイルバッテリーの充電
・飲料水や非常食の確認
・避難経路の確認

など、この機会に防災用品や避難経路を確認しておくと安心です。

高島式地震予知研究会では、今後も鈴谷観測点および仙台観測点の解析を継続し、新たな前兆波が観測された場合は随時お知らせします。

地震予測とビジネス活用について

株式会社リキッド・デザイン・システムズでは、空気動圧センサー技術を活用し、地震前兆観測、建物内の微振動解析、環境変動のモニタリングなどに取り組んでいます。

地震予測は、今後も継続的な検証が必要な分野です。

一方で、センサー技術とデータ解析を組み合わせることで、防災、建物管理、BCP対策、地域安全などへの応用が期待できます。

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