9月6~13日の高島式地震予知と首都圏の地震活動
線状降水帯が相次ぐ日本列島。「大雨の後に地震は増えるのか?」という疑問を、今週の観測データと実際の地震活動から検証します。
9月に入り、日本列島では線状降水帯や記録的な大雨への警戒が続いています。これほど雨が続くと、「大量の雨が地下にしみ込み、地震を起こしやすくすることはないのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
実際、海外や日本の一部では、地下水の増加や岩盤内部の間隙水圧の変化と、比較的浅い地震活動との関係を調べた研究があります。ただし、これは「線状降水帯のあとに大地震が起こる」という意味ではありません。現在の科学では、大雨だけを根拠に首都直下地震の発生を予測することはできません。
そこで今回は、大雨が続いた9月6~13日の高島式地震予知の観測結果と、同じ期間に首都圏で実際に発生した地震を照合しました。
今週の結論
富山県東部と埼玉県南部鈴谷の2観測点では、高島式が対象とする前兆波は確認されませんでした。
一方、首都圏ではM1~2程度の微小地震は複数発生しましたが、警戒を要する規模の首都圏直下地震は確認されていません。

図1 線状降水帯と地震活動の関係を考える際のポイント。大雨と大地震を直接結び付ける科学的根拠はありません。
大雨は地震を引き起こすのか? 研究で分かっていること
雨と地震が完全に無関係というわけではありません。大量の雨が地下へ浸透すると、特定の地質条件では地下水圧や岩盤にかかる荷重が変わり、すでに破壊に近い状態にある浅い断層の活動へ影響する可能性が研究されています。
しかし、首都圏では数十km以上の深さで発生する地震も多く、地表の豪雨がそのまま深部の地震発生につながるとは考えられていません。「線状降水帯が来たから首都直下地震が近い」と判断することはできません。
むしろ現実的に注意したいのは、大雨で地盤が緩んだ直後に地震が重なる「複合災害」です。土砂災害や崖崩れ、道路寸断の危険性は通常時より高くなるため、大雨が続いた地域ほど地震への備えを改めて確認する意味があります。
9月6~13日の高島式観測結果
今週の観測結果を、前週の状況も含めて整理すると次のようになります。
| 観測点 | 期間 | 解析結果 |
| 富山県東部 | 8/30~9/6 | 前兆波を確認せず |
| 埼玉県南部・鈴谷 | 8/30~9/6 | データ未取得のため評価不能 |
| 富山県東部 | 9/6~9/13 | 前兆波を確認せず |
| 埼玉県南部・鈴谷 | 9/6~9/13 | 前兆波を確認せず |
富山県東部では2週続けて、高島式が解析対象としている特徴的な前兆波は確認されませんでした。鈴谷では前週の8月30日~9月6日はデータを取得できなかったため「前兆波なし」とは判定せず、評価不能として扱います。9月6~13日はデータを取得できており、解析の結果、対象信号は確認されませんでした。
したがって今週は、「富山県東部でも前兆波なし」「鈴谷でも前兆波なし」という2観測点で共通した結果になりました。ただし、これは「首都圏で地震が一切起こらない」という意味ではありません。次に、実際の震源データと照合します。
では、本当に首都圏で地震は起きていなかったのか
気象庁の震源リストを確認すると、答えは「いいえ」です。しかし、小さな地震は複数発生しています。
9月6日には東京湾でM0.9・深さ67kmと、M2.0・深さ116kmの地震が記録され、千葉県北西部でもM1前後の地震が複数発生しました。9月7日には千葉県北西部でM1.4・深さ102km、9月9日には同地域でM0.8とM1.1、茨城県南部でM2.2・深さ59kmが記録されています。さらに9月10日には茨城県南部M1.4、千葉県北西部M0.8、11日には茨城県南部M1.1が確認されています。
ただし、これらは一般に「首都直下地震」と聞いて想像するM7級の地震とは規模がまったく異なります。人が揺れを感じないほど小さな地震も含まれており、首都圏の地下では日常的にこうした微小地震が発生しています。

図2 9月6~11日に首都圏周辺で確認された主な微小地震。地図と日別リストを抜粋。いずれもM2.2以下で、警戒を要する規模の首都圏直下地震とは異なります。
なお、本稿執筆時点で気象庁の日別詳細震源リストは9月11日分まで確認しています。9月13日には三宅島近海でM4.3、最大震度2の地震が発生しましたが、これは首都圏直下の地震ではありません。
「前兆波なし」の期間も、予測精度を測る大切なデータ
地震予知の記事では、「前兆波が出た」「その後に地震が起きた」という成功事例が注目されがちです。しかし、予測技術を評価するためには、信号が出なかった期間に実際には何が起きていたかを確認することも同じくらい重要です。
今回の9月6~13日は、富山県東部と鈴谷の両観測点で対象信号を観測しませんでした。その一方で、首都圏ではM1~2程度の微小地震が複数発生しました。警戒を要する規模の地震は確認されていません。
この「前兆波なし+微小地震のみ」という記録を蓄積することで、高島式がどの規模の地震を対象としているのか、また信号が出ない期間に地震活動がどの程度の範囲に収まるのかを、今後より具体的に検証できます。
今週の高島式地震予知まとめ
9月6~13日の観測では、富山県東部、埼玉県南部鈴谷の両地点とも、高島式が対象とする前兆波は確認されませんでした。首都圏ではM1~2程度の微小地震は複数発生しましたが、今回の観測期間中に警戒を要する規模の首都圏直下地震は確認されていません。
また、今週は関東を含む日本各地で大雨や線状降水帯への警戒が続きました。降雨が特定条件下で浅い地震活動へ影響する可能性を示した研究はありますが、線状降水帯から首都直下地震を直接予測できるわけではありません。
高島式地震予知研究会では、気象現象と地震を安易に結び付けるのではなく、実際に観測された前兆波と、その後の地震活動を同じ基準で継続して照合します。次に特徴的な信号が観測された場合には、地震発生前の段階で予測条件を公開し、その結果を検証していきます。
参考・配信情報
首都直下と南海トラフ巨大地震が切迫。日本の備えには何が足りないか?
https://www.mag2.com/p/news/490599
首都直下地震「被害想定額95兆円」に日本は耐えられるか?発生率70%の重大リスク
https://www.mag2.com/p/news/506550
関連リンク
高島式地震予知の解説記事一覧
https://liquiddesign.co.jp/category/blog/earthquake/
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