先週の予測、その6日後に千葉県北東部M5.5

先週の記事では、10月23日14時11分に埼玉県南部・鈴谷で観測した強い信号から、「10月30日±5日、茨城県南部直下、震度2程度」という予測を公開しました。
その6日後の10月29日午前0時07分、千葉県北東部でM5.5、最大震度5弱の地震が発生しました。日付は予測期間内でしたが、予測地点と実際の震源、想定震度と実際の揺れには差があります。従って、高島式地震予知研究会では予測事例と判断していますが、「完全に予測が一致した」とは評価していません。
さらに10月27日には、鈴谷でこれまでとは形の異なる54秒間の波形を観測しました。その5日後の11月1日には、三重県南東沖でM6.1、深さ約350kmの深発地震が発生しています。
つまり今週は、短い期間に「2つの観測信号」と「2つの地震」が並んだことになります。重要なのは、地震が起きた後にすべてを前兆と結び付けることではなく、事前に出していた条件と実際の地震を同じ基準で照合することです。
この記事では、①10月23日の予測は千葉県北東部M5.5とどこまで一致したのか、②10月27日の54秒波形は三重県南東沖M6.1と関係したのか、③千葉で震度5弱が起きても高島が「首都圏直下地震は起こらない」と判断するのはなぜか、この3点を順番に検証します。
富山県東部では10月25日~11月1日に高島式が判定対象とする前兆波は確認されていません。この観測結果をもとに、高島は今週も「首都圏直下地震は起こりません」と予測しています。なお、これは高島式独自の観測・解析に基づく予測であり、気象庁などの公式見解ではありません。
10月23日の予測は、千葉県北東部M5.5とどこまで一致したのか
10月23日14時11分、鈴谷観測点で総持続時間99秒の特徴的な信号を記録しました。
解析値は12.8Hzと10.0Hz、最大振幅84mVp-p。高島はこの時点で「10月30日±5日」「茨城県南部直下」「震度2程度」と予測しました。
予測日は10月25日~11月4日に相当します。結果を確認する前に、日付・地域・揺れの強さまで公開していた点が今回の検証の前提です。
その後、10月29日午前0時07分に千葉県北東部でM5.5の地震が発生しました。

10月23日14時11分、埼玉県南部・鈴谷で観測された信号
気象庁の暫定値では震源の深さ52km、千葉県横芝光町で最大震度5弱を観測しました。埼玉県南部や茨城県南部でも震度3を観測しています。
研究会資料では速報値M5.4としていましたが、その後、気象庁の暫定値はM5.5にアップデートされています。

10月29日午前0時07分、千葉県北東部でM5.5、最大震度5弱
高島式地震予知研究会では、10月23日の信号をこの千葉県北東部地震に対応した前兆波と判断しています。
ただし、予測内容を3点に分けると評価は一様ではありません。
日付は「10月30日±5日」の範囲内です。一方、地域は「茨城県南部直下」に対して実際は千葉県北東部、揺れも「震度2程度」に対して最大震度5弱でした。時間的な対応は確認できましたが、場所と震度の推定には差が残りました。
そのため本記事では、単純に「的中」とだけ表現せず、「研究会では予測事例と判定したが、地域・震度の推定精度には課題が残った」と評価しています。
10月27日の54秒波形は、三重県南東沖M6.1と関係したのか
10月27日14時41分、鈴谷観測点の垂直加速度センサーで54秒間続く特徴的な波形を観測しました。
この信号は、10月23日に観測した波形とは性質が異なります。
電界変動と低周波圧力には明確な変化がなく、垂直加速度だけに現れました。FFT解析では主な成分が20Hz以上で、観測室の共振周波数約13Hzより高い周波数帯でした。

10月27日14時41分、垂直加速度に54秒間の特徴的な波形を観測
高島式では、この形状を「重複反射波形」と呼んでいます。
研究会では、地下構造や断層周辺を通過する地震前の信号と関係する可能性を検討しています。ただし、この解釈は高島式独自の研究仮説であり、一般の地震学で確立された前兆現象ではありません。
ここで確実に言えるのは、10月27日に垂直加速度だけへ54秒間の波形が現れ、主要成分が20Hz以上だったという観測事実です。
この信号が実際の地震とどのように関係するかは、その後の地震との照合と、多地点での継続観測によって確かめる必要があります。
5日後に三重県南東沖M6.1|南海トラフとの関係は?
10月27日の信号から5日後、11月1日午前7時15分に三重県南東沖でM6.1の地震が発生しました。
震源の深さは約350km。最大震度3を福島県で観測し、関東でも震度2の揺れが確認されました。震央から離れた地域で比較的強く揺れる、深発地震にみられる「異常震域」の特徴を示しています。

11月1日午前7時15分、三重県南東沖でM6.1・深さ約350km
高島は、10月27日に観測した垂直加速度の波形について、この三重県南東沖M6.1に対応する前兆波だった可能性があると見ています。
三重県南東沖という震源名から、「南海トラフ巨大地震の前兆ではないか」と考える人もいるかもしれません。
ただし、今回の震源は約350kmと非常に深く、南海トラフ巨大地震で想定される浅いプレート境界の地震とは発生場所や仕組みが異なります。気象庁も10月7日時点の定例評価で、南海トラフ沿いの大規模地震発生の可能性が平常時より相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていないとしています。
したがって、今回のM6.1だけを根拠に「南海トラフ巨大地震が近い」と判断することはできません。
千葉で震度5弱が起きても「首都圏直下地震は起こらない」とする理由
10月25日~11月1日の富山県東部観測では、高島式が首都圏直下地震の判断に用いる前兆波は確認されませんでした。
この結果から、高島は今週についても「首都圏直下地震は起こらない」と判断しています。
一方、10月29日には千葉県北東部でM5.5、最大震度5弱の地震が起きています。これだけを見ると矛盾しているように見えるかもしれません。
高島式で「首都圏直下地震」と定義するのは、M7級を想定する大規模な首都直下地震です。関東でM4~5程度の地震が一切発生しない、という意味ではありません。
また、気象庁は千葉県北東部M5.5の発生後、1週間程度は最大震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。とくに発生後2~3日程度は、規模の大きな地震が起こりやすいとしています。
高島式の予測は研究会独自の情報です。実際の防災行動では、気象庁など公的機関の情報を優先し、家具の固定や備蓄、避難経路の確認を続けてください。
今週の結論|日付は一致、場所と震度には差。M6.1との関係は検証継続
今週は、高島式の予測を「当たった・外れた」の一言では評価できないことがよく分かる1週間でした。
10月23日の最大84mVp-pの信号は、研究会では10月29日の千葉県北東部M5.5との対応事例と判断しています。予測日は範囲内でしたが、予測地域と震度には差がありました。
10月27日には別の54秒波形を観測し、その5日後に三重県南東沖M6.1が発生しました。この波形との関係は、高島式の研究仮説として今後も検証します。
そして富山県東部では対象となる前兆波が確認されていないため、高島は今週も「首都圏直下地震は起こらない」と判断しています。
予測日だけでなく、地域、規模、空振り、見逃し、欠測まで同じ基準で残すことが、地震予知技術の実力を判断するためには欠かせません。
次回も、富山県東部と鈴谷の観測結果を、実際に発生した地震と照合して地震予知とその結果を公開いたします。
関連リンク
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