フィリピン海プレートの活動が日本列島に及ぼす影響

2025年9月から10月にかけて、フィリピン海プレートの活動が顕著に高まっています。
10月9日夜(日本時間)には、フィリピン・ルソン島東方沖でマグニチュード7.6の大地震が発生し、最大3メートル級の津波が沿岸部を襲いました。この地震は、フィリピン海プレートが急激に沈み込むことで発生したもので、同じプレート上に位置する日本列島にも連動的な影響を及ぼすとみられています。フィリピン海プレートは、西日本から関東南部の地下に潜り込み、日本列島を下から押し上げるように動いています。このプレートがわずかに動くだけでも、地殻の「ひずみバランス」が変化し、南海トラフ地震や首都直下地震など、大規模な地震の発生条件に影響を与えることがあります。実際、フィリピンで発生した今回の大地震では、日本の太平洋沿岸にも津波注意報が発令され、和歌山県や高知県では潮位上昇が確認されました。プレートは地球規模でつながっており、一部で応力が解放されると、別の領域に歪み(ストレス)が再分配される現象が起こります。

セブ島と津波


今回の地震のエネルギーも、プレート境界を通じて南海トラフや伊豆・小笠原海溝方面へと伝わった可能性が高く、日本列島の地下でも応力バランスの変化が生じていると考えられます。地震推定技術による解析では、フィリピン海プレートに由来する「破壊核形成信号」が観測された場合、おおむね45日以内に地震が発生する傾向が確認されています。今回のフィリピン地震は、そうしたプレート全体の緊張状態を示すものであり、日本周辺でも今後数週間、地震活動の活発化に注意が必要です。

10月5〜13日の埼玉県南部・鈴谷観測結果:前兆波の出現

2025年10月5日から13日にかけて、埼玉県南部・鈴谷観測点で顕著な前兆波が確認されました。観測システムは、地面のわずかな「揺れ」を室内で増幅して記録できる高感度装置を使っています。人間には感じ取れないほどの微振動を1000倍以上に拡大し、地中の変化を“音”として捉えることができます。今回は特に10月5日と7日に複数の前兆波が検出され、地震活動の兆候が明確に現れています。

●105日 1318分 観測波形【画像202510月5日13時18分鈴音】

持続時間:65秒(65/292)
主要周波数:11.9Hz、10.1Hz
最大振幅:31mVp-p

比較的穏やかな波形ながら、明瞭なピークが出現しました。この信号は「破壊核形成信号」の初期段階にあたる可能性が高く、後続の地震活動を示唆するサインと見られます。

●105日 1531分 観測波形【画像202510月5日15時31分鈴音】

持続時間:42秒(42/292)
主要周波数:12.4Hz、10.2Hz
最大振幅:73mVp-p

午前中よりも明確にエネルギー集中が見られ、波形の中盤に鋭いスパイク状のピークが観測されました。これは地殻内部の応力が急激に集中したことを意味し、発震直前の微小破壊現象と考えられます。実際、この信号の約2日後に福島県沖でM4.9(深さ50km)の地震が発生しており、発生位置(L=281)は鈴谷観測点の予測レンジと一致しました。

●107日 1427分 観測波形【画像202510月7日14時27分鈴音】

持続時間:40秒(40/85)
主要周波数:11.7Hz、10.3Hz
最大振幅:52mVp-p

この波形では中盤から後半にかけて、特徴的な双峰構造(2つの山)を形成。これは地殻応力の解放過程に伴う微小破壊が断続的に発生していることを示唆しています。5日の観測データと比較すると、周波数帯が近似しており、同一のプレート運動に由来する連続現象と推定されます。

前兆波の解釈と地震発生予測

今回の前兆波群(10/5・10/7)は、いずれも周波数帯が約10〜12Hzと一致しており、典型的なフィリピン海プレート由来の中周波型信号と判断されます。これらのデータから、鈴谷観測所では以下のような推定が導かれます。

項目推定値
地震発生予想日10月15日 ±5日
発生確率約80%
予想震源地不明(関東〜東北沿岸部の可能性)
予想規模M3〜4
鈴谷での体感震度震度1〜2程度

今回の観測結果から見ると、10月中旬ごろに関東周辺で小規模な地震(震度1〜2程度)が起きる可能性が高まっています。大地震につながる兆候ではありませんが、「プレートが動き始めている」というサインとして注目すべきタイミングです。この予測は、過去の統計的傾向および破壊核形成信号の発現パターンと一致しています。

今後の注視点と防災への備え

地震推定技術によると、今回のような前兆波が連続して観測された場合、45日以内に本震が起こるケースが多いとされています。特にフィリピン海プレート起因の信号は、首都圏直下や伊豆・小笠原諸島方面への影響を及ぼす可能性もあり、今後1か月は関東〜東北南部の活動度を継続的に注視する必要があります。

一方で、今回の前兆波の規模は限定的であり、直下型大地震に直結する兆候ではありません。しかし、こうした小さなサインを積み重ねることで、長期的なプレート活動の「流れ」を正確に把握できるようになります。地震予知は「恐怖をあおる技術」ではなく、「未来を知り、備えるための科学」です。前兆波を観測し、地球の変化を理解することは、日常の防災を見直すきっかけにもなります。過剰に怖がるのではなく、変化を“感じ取る力”を社会全体で育てていくことが大切です。今後も継続的な観測と解析を通じて、フィリピン海プレートの動きを追跡していきます。


【関連リンク】
◎ 高島式地震予知の解説記事一覧:https://liquiddesign.co.jp/category/blog/earthquake/
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