1月6日の島根県東部地震と関東の前兆波観測から見えた現実
2026年1月6日午前10時18分ごろ、島根県東部を震源とするマグニチュード6.4、最大震度5強の地震が発生しました。震源の深さは約11kmと浅く、鳥取県西部から島根県東部にかけて強い揺れが観測されましたが、津波の心配はないと発表されています。
この地震について、高島式地震予知による事前の予測情報は出ていませんでした。この点については、「なぜ予測できなかったのか」という疑問を持つ方も多いと思います。そこでまず、高島式地震予知で現時点でできることと、できないことを整理します。
高島式地震予知は、日本列島すべての地震を一律に予測できる技術ではありません。現在の観測体制では、前兆波計測器は埼玉南部、仙台、富山の3地点に設置されています。この観測網で把握できるのは、最大およそ400km圏内、かつフォッサマグマ以東、つまり関東から東北を中心とした範囲で発生する地震です。したがって、中国地方や九州地方を震源とする地震については、現時点では解析対象になりません。
今回の島根県東部地震は、現行の観測網では解析対象外の地域で発生した地震です。そのため、事前に前兆波を観測し、地震発生を予測する条件がそろっていませんでした。これは予測精度の問題ではなく、「観測できる範囲」と「観測できない範囲」が明確に分かれている、という現在の技術的前提によるものです。この点を正しく理解することが重要です。

2025年度年末の微弱な前兆波
一方で、観測範囲内にあたる関東周辺では、別の事実も確認されています。2024年12月30日10時19分、埼玉南部の観測点において、持続時間約21秒、20Hz前後の高周波成分を含む微小な前兆波が観測されました。この周波数帯は、地下の浅い場所で起こる直下型地震に特徴的とされています。
12/30 10時19分
持続時間21秒 f=20.4Hz, 17.4Hz Max22mvp-p
(周波数が高いのは直下型の証拠です。)

1/5 発生済 千葉県北西部M3.4 D=70 L(鈴)=44。
都内に比べて埼玉県南部。鈴谷は震度1にも達していませんでした。

その後、2025年1月5日に千葉県北西部でマグニチュード3.4の地震が発生しました。結果として、この地震に対応する前兆波は、事前に捉えられていたことになります。ただし、この前兆波は規模が小さく、また年末年始の影響で仙台観測点のデータが一時的に欠測していたため、複数地点での確認ができませんでした。
高島式地震予知とはどのような技術なのか
では、高島式地震予知とは、そもそもどのような仕組みなのでしょうか。
この技術は、「地震が起きてから揺れを観測する」のではなく、「地震が起きる前に、地下で起こる異変を捉える」ことを目的としています。
実際にこの手法では、過去4年間で402例の地震を事前に捉えており、的中率は約約85〜90%という結果が報告されています。対象となる地震規模はマグニチュード3から最大7.6までで、内陸地震・海域地震の両方が含まれます。どの規模の地震を対象としているかは、記事内の図をご参照ください。

このような実績の背景にあるのが、「破壊核形成信号」という考え方です。
大きな地震が突然発生するように見えても、地下の岩盤では、地震の直前に必ず小さなヒビやズレが生じます。この段階を専門的には「破壊核形成」と呼びます。
例えるなら、ガラスが割れる直前に「ピキッ」と小さな音がする状態です。このときに発生する、人の体では感じ取れないほど微弱な振動が「前兆波」です。前兆波は地下から地表へ伝わり、建物や部屋をわずかに揺らします。
高島式地震予知では、この部屋の揺れ方に注目します。部屋にはそれぞれ固有の共振周波数があり、特定の振動が入ると、音叉のように振動が大きく増幅されます。この性質を利用し、地面から伝わる微振動を1000倍以上に増幅して観測します。これにより、通常の地震計では捉えにくい、地震直前の微細な変化を検知できます。
特に重要なのが、地震の規模が大きいほど、破壊核形成信号は遠くまで伝わる点です。マグニチュード7クラスの地震では、400km以上離れた場所でも信号を捉えられることが確認されています。また、観測地点が実際の地震で震度1以上を感じる距離にあれば、地震発生前の信号は十分に観測可能とされています。
まとめ
今回の島根県東部地震と関東の事例は、高島式地震予知が「何でも当てる技術」ではなく、「地下で起きている異変を科学的に捉える技術」であることを示しています。観測範囲内では前兆波を捉えられる一方、観測範囲外では解析ができません。また、前兆波を捉えたとしても、それをどの時点で警告として出すかは慎重な判断が求められます。
地震予知に過度な期待や失望を抱くのではなく、現時点で分かっていることと、まだ分からないことを正しく理解することが、防災を考える第一歩になります。高島式地震予知は、そのための新しい「気づきの道具」として、今後も検証と改善が続けられていきます。
おわりに
今回は「なぜ高島は地震予知研究を続けているか―2011年の後悔と12月の地震予知報告」に続く特別記事第2弾となりました。また、来週から2026年の新記事として、高島に関する「脈診を科学する 五行ドクター開発の系譜」を何回かに分けて公開する予定です。
五行アルゴリズムを発明した高島が、ソニー創業者・井深大との出会いを起点に、脈診という東洋医学の領域にどのように向き合ってきたのか。
さらに、高名な韓国の漢方医・白熙洙(ペク・ヒス)医師を含む総勢10数名の医師・医療スタッフとともに、脈診を計測する技術の研究に取り組んだ経緯などを、技術史として紹介していきます。
【関連リンク】
◎ 高島式地震予知の解説記事一覧:https://liquiddesign.co.jp/category/blog/earthquake/
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