空気のわずかな圧力変化には、私たちが気づかない“膨大な情報”が潜んでいます。
呼吸のリズムや建物の揺れ、地震の前兆、機械の微振動など、これらを一つのセンサーで検出できたなら、新しい可能性が広がるはずです。
リキッド・デザイン・システムズが開発した空気動圧センサー「LDS-T6B」(特許第7710729号)は、微弱な空気の圧力変化を高精度に捉える超高感度・高S/N比センサーです。医療介護・育児・地震・車載など、すでに複数の実証実験で成果を上げており、現在は新たな応用の可能性――たとえば感情センシング、環境センシング、構造モニタリングなど――に向けた研究と共創の可能性を探っています。

空気動圧センサーの性能と実績
LDS-T6Bは、0.15Hz〜1kHzの広帯域応答を持ち、呼吸や心拍といった低周波信号から、構造物や機械の高周波振動まで幅広く検出できます。一般的な圧力センサーと異なり、50mV/hPa出力という高感度とノイズ耐性を両立し、周囲の環境変化にも左右されにくい安定したセンシングを実現します。
筐体は亜鉛合金+金属メッキ構造を採用しており、ノイズシールド性と耐久性を確保。これまでの開発で培ったベビー・介護センサー、いびきセンサーなどの非接触センシング技術がLDS-T6Bに受け継がれています。
〇医療・介護分野では、マットレス下に設置して呼吸や体動を非接触で検知する
「ベビーセンサー」「介護センサー」「いびきセンサー」として実用化されています。
https://liquiddesign.co.jp/technology-line/
〇地震予知分野では、特許第6995381号取得済みの「高島式地震予知センサー」として、応用されており、地震予知のメルマガとして週1回発信されています。
→「的中率90%の地震予知をあなたのスマホに」:https://www.mag2.com/m/0001698630
〇車載・モビリティ分野では、ドライバーの眠気や注意低下を検知する安全運転支援デバイス「ドラモニ」(参考:Car Watch掲載記事)で採用されています。
こうした過去の製品群で培われたセンシング技術が、LDS-T6Bの根幹を支えています。“空気の揺らぎを信号化する”というこのコンセプトは、医療から防災、モビリティまで幅広い分野に拡張可能な技術基盤として進化し続けています。
呼吸と感情をつなぐ、新たなセンシング技術
LDS-T6Bの高感度特性は、空気中のわずかな呼吸周期変化まで検出できるレベルに達しています。AIを活用した社内調査では、「感情変化は呼吸周期変動に最も強く反応する」という実験結果が得られています。喜び・驚き・緊張・リラックスなど、人の感情状態が変わると、呼吸のテンポやリズムが微妙に変化する――この生理的反応を空気動圧信号だけで捉えることが可能かもしれません。
この反応は心拍変動ではほとんど現れず、呼吸周期変動のほうが感情変化との相関が顕著である点が特徴です。つまり、LDS-T6Bを使えば、音楽鑑賞中の感動やストレス状態、あるいは痛み・香り・温度変化などへの反応を、非接触で検出することが可能とも言えます。

空気の動きをセンサリングする応用展開の可能性
空気のわずかな変動を捉えるセンシング技術は、ウェルネス、モビリティ、防災、建築、産業、セキュリティなど、幅広い分野への応用が期待されています。LDS-T6Bは、その高感度・広帯域特性により、人の生理反応から社会インフラの変化まで“空気”を介して可視化する新しいセンシング基盤となる可能性を持っています。たとえば、
〇 スマートヘルスケア・ウェルネス分野では、呼吸リズムの変化からストレスやリラックス状態を推定したり、音楽や映像体験中の「感動度」や「集中度」を捉えたりできる可能性が考えられます。
〇 教育・ワークプレイス分野では、空気流動をモニタリングし、集中しやすい環境づくりや快適性評価に応用できる可能性があります。
〇 モビリティ分野では、車内の微弱な空気振動からドライバーの呼吸や姿勢の変化を検出し、安全運転支援につなげられるかもしれません。
〇 防災・建築分野では、建物や橋梁の共振、地震の前兆波などを空気振動として捉え、構造モニタリングに活用できる理論的可能性があります。
〇 産業分野では、モータやポンプなどの脈動圧を検出して稼働状態や異常兆候を把握する「予知保全」への技術的応用の余地が考えられます。
〇 セキュリティ・防犯分野では、空気の動きを解析してガラス破損や侵入動作を非接触で検知する「空気圧セキュリティ」といった実現性もあります。
これらはすべて、LDS-T6Bが持つ高感度・高S/N比・広帯域応答という性能を共通の基盤としています。同一のセンサー技術から、多分野の課題解決へと展開できる可能性がある点が、この技術の大きな魅力です。これらの応用可能性をマトリクスとして整理しました。
| 応用分野 | 市場規模 | 事業化 | 技術適合性 | 実績/技術難易度(当社) |
| スマートヘルスケア | 大 | 〇 | 高 | 製品化(ベビー・介護他) |
| 安全運転・モビリティ | 大 | 未 | 高 | 製品化(ドラモニ) |
| 車両防犯/盗難検知 | 大 | 未 | 高 | 中 |
| 感情センシング/嗜好推定 | 中 | 未 | 中 | 高 |
| 地震予知(高島式) | 小 | 未 | 中 | 原理を応用して実現 |
| 建築構造モニタリング | 中 | 未 | 中 | 高 |
| 産業機器・設備診断 | 中 | 未 | 中 | 中 |
| 環境・気配センシング | 中 | 未 | 中 | 中 |
| 建物のセキュリティ | 大 | 未 | 高 | 中 |
このマトリクスは、LDS-T6Bが既に強みを発揮している領域を基点に、感情センシング・防犯・構造モニタリングなど、新分野への展開可能性を整理したものです。現時点では構想段階にありますが、今後はユーザーやパートナー企業との協働で、実証を通じた事業化を検討できればと考えています。
新しい発想が、新しい価値を生み出す
LDS-T6Bは、音や光では検知できない「静かな環境変化」を可視化し、空気圧のわずかな変動から感情・健康状態・環境リスクなどを包括的に解析できる技術基盤を提供します。
AI解析との組み合わせにより、カメラを使わずにドア開閉や人の動きによる微細な空気圧の変化を検出するなど、プライバシーを守りながら安全性を高める新たな防犯・見守りシステムの構築が期待されています。
また、産業や建築の領域でも、モータや送風機、ポンプなど空気圧系設備の脈動圧を検出して稼働状態や異常兆候を把握する「予知保全」、そして橋梁・高層ビルの構造ヘルスモニタリングなど、幅広い応用の可能性を秘めています。
空気動圧という新しい指標を取り入れることで、従来の加速度センサーでは得られなかった情報を補い、より多面的な解析や安全性向上につながるかもしれません。今後は、クラウドAIやデジタルツイン技術との連携により、“空気で感情と環境を同時に見守る社会インフラ”という新しい構想の実現に向けた検討を進めています。
まとめ:新しい価値を共創できるアイデアを募集
LDS-T6Bは、単なるセンシングデバイスではありません。空気の動きを可視化する「新しい感覚器」として、まだ誰も見たことのない現象をデータとして捉える可能性を持っています。カメラやマイクに依存せず、人の存在や心の動きを感じ取る――そんな“空気の感情インタフェース”を実現できるかもしれません。
呼吸や建物の共振、地震の前兆波などの微細な変化を検出できるポテンシャルを活かし、医療・介護・防災・モビリティ分野をはじめ、教育・農業・ウェルネス・住環境など、これまで挑戦されてこなかった分野への展開も期待されています。
LDS-T6Bの可能性を共に広げ、社会に新しい価値を生み出していく共創パートナーを募集しています。空気のわずかな揺らぎが、次のイノベーションのきっかけになる――そんな未来に向けて、新しい共創アイデアをお寄せください。
センサービジネスに関するお問い合わせは下記へ
info@liquiddesign.co.jp センサー共創ビジネス共創担当まで
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